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2013年8月27日掲載 − ベルリンの見えない壁
民主化運動家ローラント・バーロー、インタビュー(4)
Q:西側の生活になって、こんなこともあるのかと驚いたことは?。

そうだろうなとは想像できていたが、想像していたことと、実際に体験したことには大きな違いがあることを知った。

たとえば、物質的なことだけど、生活費のことだ。

西側の友人が最低でも1000から2000ドイツマルクないと生活できないとよく話していたけど、そんなにたくさん必要だとは想像もできなかった。

自分の場合、東ドイツでは600マルクもあれば十分に生活できた。

ただ、市場経済社会でそれなりに生きていくのに、生活費がどれくらい必要なのか。それは自分で体験してみないことにはわからなかった。


Q:その他には?。いいことでも、悪いことでも。

今は、お金さえあれば、たくさんの可能性があるということだ。

夜遅くまでカフェに座っていたり、毎晩ビールを2杯も、3杯も飲める。お金があればね。

確かに、現在は平和になったけど、資本主義が世界が長く存続できるようにしてくれるかどうかと思うと、たいへん疑問に思う。

自然が破壊され、際限もなく経済成長だけが求められる。こういう状態が長く続くとは思えない。

資本主義の進む速度を落として、世界ができるだけ長く存続できるようにしなければならない。

そのためには、新しい道が開けるように、新しいビジョンを持って現在のシステムに抵抗する市民がたくさん出てこなければならないと思う。


Q:西ドイツでは、東ドイツの環境破壊はすごいといわれていたが。

東ドイツでは、環境技術が発達せず、環境が破壊されていたのは事実だ。ただそれは、技術水準の問題ではないだろうか。

東ドイツをそれによって、擁護しているわけではない。

環境問題では、世界全体に対する責任が益々大きくなってきていることをいいたいのだ。たとえば西ドイツは、ゴミをアフリカなどの第三国に輸出している。


Q:東西ドイツ統一によって、東ドイツの存在意義のようなものはなくなってしまったのか。

東ドイツの民主化運動では、われわれは自分たちで決定できる新しい国家ができることを望んでいた。東ドイツではない、別の名前にすることもできたと思う。

しかし、それは夢だった。歴史的には、それは不可能だったということだ。


Q:西ドイツやアメリカ、日本などの西側社会に比べると、東ドイツの市民とのほうが文化や政治について深く話せるようにも感じるが

そう思われて、当然かもしれない。

レジャー産業、家電産業、メディアなどが、われわれの文化の基盤を破壊してきたからだ。それは、われわれの精神文化において現代人とポストモダン工業国の副作用のように現れているということだ。

非工業化と技術の未発達。それが、社会において文化に対する意識を維持、強化させてきた。それは、ある意味で発展途上国と東欧諸国の数少ない長所だったと思う。


ありがとうございました。

(1994年、べルリンのカフェでインタビュー)
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