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2013年7月17日掲載 − 脱原発 ・ 自然エネルギー
すぐに乾式中間貯蔵へ切り替えるべきだ

日本では、原発の再稼働や福島第一原発の廃炉の問題ばかりが注目されがちだ。しかし、日本が今すぐに取り組まなければならないのが使用済み核燃料の乾式貯蔵だ。


ドイツでは乾式貯蔵が当り前だが、日本はほとんどの使用済み核燃料がプール式貯蔵されている。日本でもようやくフクシマ後に、原子力規制委の田中委員長が乾式貯蔵のほうが安全といいだしているが、ほとんどこの重要性が認識されていない。


フクシマ事故においても、福島第一原発4号機の燃料貯蔵プールが大きな問題となっている。原子炉が稼働していなくても、プール式貯蔵では地震、津波の影響でプールに亀裂が入るなどして重大な危険が発生しかねない。またテロ行為にも、プール式貯蔵はたいへん弱い。プールが破壊されたり、電源供給が遮断されると、使用済み核燃料を冷やす術がなくなるからだ。


それに対して乾式貯蔵の場合、使用済み核燃料をキャスクと呼ばれる金属容器に入れて、大きな貯蔵スペースに保管する。スペース内は自然換気で冷却されるので、外部からの電源供給に依存しない。たとえ、貯蔵スペースが破壊されても、使用済み核燃料がキャスク内で安全に保管できるよう設計されている。


日本はまず、仮設でもいいから今すぐに、貯蔵プールにある使用済み核燃料をキャスクにいれて、乾式で中間貯蔵する方法へ移管しなければならない。


その乾式貯蔵の先進国がドイツだ。以下で、日本とドイツの状況について簡単にまとめておこう。


日本の状況:

使用済み核燃料を再処理をして核燃料サイクルの確立を目指す日本では、まず、使用済み核燃料を原子炉横の燃料貯蔵プールで冷やしてから六ヶ所の貯蔵プールに集め、再処理する。

再処理施設が稼働しない上、再処理施設の処理能力が小さいので、使用済み核燃料が原子炉の貯蔵プールに貯まるばかりの状態となっている。

もう一つ再処理施設を設置する計画もあるが、進んでいない。

日本ではまだ実際に再処理が行われておらず、フランスかイギリスに運んで再処理してもらっているが、たとえ日本で再処理が開始されても、使用済み核燃料は乾式貯蔵するほうが安全だ。

現状では、原発の貯蔵プールに使用済み核燃料が貯まるばかりで、かなり一杯の状態。貯蔵プールが一杯になると核燃料の交換ができなくなるので、今度は必然的に原子炉を停止せざるを得なくなる可能性もある。

現在、東電がむつ市に乾式の中間貯蔵施設を建設中だが、まだ乾式へ移管しようとしている電力会社は少数派だ。

むつ市の中間貯蔵施設については、東電が用地買収で建設会社を使って裏金を使ったとの疑惑が出ている。


ドイツの状況:

ドイツは90年代はじめに、使用済み核燃料の国内再処理を断念した。その後、フランス、イギリスで再処理をしてもらっていたが、94年から使用済み核燃料を再処理せずに直接処分することも認めている。

直接処分を認めた後は、使用済み核燃料を原子炉の貯蔵プールで冷やした後にアーハウスとゴアレーベンの中間貯蔵施設で集中乾式貯蔵していた。

再処理するものは、原子炉貯蔵プールから直接再処理施設へ搬送されていた。しかし、国外での再処理も2005年6月まで認められ、それ以降は再処理されていない。

2000年に政府と電力会社が脱原発で合意した時に、使用済み核燃料を原発サイト内ないし隣接敷地に乾式中間貯蔵することで変更した。中央貯蔵から分散貯蔵に換えたということだ。

分散式の中間貯蔵がいいのか、集中型の中間貯蔵がいいのかは、議論の余地もある。ただ将来の廃炉についても考えると、原発の規模にもよるが、乾式の中間貯蔵施設が原発サイトにあると、廃炉にも貯蔵施設が使える。

たとえば、現在廃炉中のグライフスヴァルト原発では、敷地内に廃炉用に乾式の中間貯蔵施設を設置した。施設内には、廃炉によって排出される低中レベル放射性廃棄物ばかりでなく、使用済み核燃料と原子炉から撤去された圧力容器と蒸気発生器も中間貯蔵されている。

低中レベル放射性廃棄物は、最終処分場ができるまで仮保管されている。使用済み核燃料と圧力容器、蒸気発生器は約30年保管した後、使用済み核燃料は最終処分場に送られる。圧力容器と蒸気発生器は解体して、放射性廃棄物として残るものだけが最終処分される。

現在、燃料交換で排出される使用済み核燃料はすべて、各原発の中間貯蔵施設で乾式貯蔵されている。しかし、原発内に中間貯蔵施設ができるまでは、敷地内の仮設施設で貯蔵を開始していた。

ただ、原発周辺の住民には、この中間貯蔵施設がそのまま最終処分施設にされてしまうのではないかとの不安もあるのも事実だ。


乾式貯蔵が100%安全だ、というわけではない。キャスクは型式承認の形で使用が許可されるが、その許認可時に行われる落下試験、耐熱試験が十分かどうかには議論の余地がある。


中央中間貯蔵施設のあるドイツのゴアレーベンでは、中間貯蔵施設敷地の外で基準を超える放射線量が測定された。また、周辺地域で出生性比が変化して、男児の生まれる割合が増加していることを示す疫学調査結果も出ている。


ただそれでも、プール式に比べると、乾式貯蔵のほうが俄然安全だ。日本でも、一刻も早く乾式貯蔵に換える必要がある。


なおドイツでは、ドイツ製ないしフランス製のキャスクが使用されている。


(2013年7月17日、おすと   えいゆ)
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