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2017年3月16日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言 − 1章 電力の小売りが全面自由化された
電力の送電と配電のために託送料を支払う

電力はすべて、電源が何であろうが、発電施設から送電網と配電網を経由して消費者に供給されます。電力小売りが自由化されるまで、電力会社は自社管轄地域において、自社の送電網と配電網を使って自社で発電した電力を供給していました。


自由化とともに、自社で発電した電力ばかりでなく、自社の送電網と配電網を使って他社で発電された電力を供給しなければならなくなります。他社の電力を送電、配電する場合、送電網と配電網を持つ電力会社は、電線の使用料である託送料を請求します。


たとえば、青森に住む住民が東京電力と電力の供給契約を結んだとしましょう。その場合、青森の住民には系統(送電網)から電力が供給されるにすぎません。でも電力は名目上、東京電力の発電施設から東京電力と東北電力の送電網、配電網を使って供給されたとみなします。電力を送電、配電した分の託送料が、東京電力から東北電力に支払われます。託送料はさらに、東京電力が青森の住民から電気料金の一部として回収します。


ここで、他社で発電された電力に高額な託送料が請求されてはなりません。さもないと、自社の送電網や配電網を持たない新規参入者が不利になります。事業者が誰であろうと、平等で公平な託送料が必要になります。


それを実現するため、送電、配電事業を行なう事業者を発電事業者と小売事業者から分離します。それによって、電力市場において公平に競争できる基盤を確保します。それが、次の章で述べる発送電分離です。送電事業者と配電事業者を発電事業者や小売事業者と子会社関係や系列関係にない、中立な立場にします。しかし、その中立性を確保するのは難しい問題です。


ドイツでは、発送電分離が完全に実施されるまでに10年以上もかかりました。自由化後も長い間、送電網や配電網は大手電力会社の子会社によって運用されていました。ドイツは、託送料の額を業界の自主規制に任せます。これが、すぐに大きな問題となりました。送電網、配電網を所有する大手電力会社が、自社に有利なように勝手に託送料を決めました。新規参入者は、業界で権力を握る大手電力のいいなりになるしかありませんでした。政府が何度となく改善を求めますが、なかなか改善されません。電力市場が自由化されても、公平な競争は不可能でした。


ドイツでは、送電網と配電網の利用を監視、規制する国の機関が設置されてようやくこの不公平な状態が改善されます。


日本でも、小売りの全面自由化と発送電分離は同時に開始されません。発送電分離が遅れて実施されます。ただ日本では、送電網(系統)を全国で広く運用する仕組みがすでにはじまっています。「電力広域的運用推進機関」という独立した組織がすでに設立されています。これは、送電網と変電所をそれを運用する大手電力会社から独立させ、新規事業者も系統を公平に利用できることを支援、管理する機関とされています。


日本では電力全面自由化に伴い、電気料金を電力供給に係るすべての原価に基づいて決める総括原価方式が廃止されました。ただ、これまで総括原価方式で電気料金に加算されていたコストが、託送料で回収されます。託送料に、総括原価方式を残そうという魂胆です。


核燃料再処理コストと原子力研究や原発立地対策として原発の立地する地域に渡される電源開発促進税が、託送料に加算されることになりました。本来、原子力発電にだけ係るコストです。それが、再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力の託送料にも加算されます。また、事故を起こした福島第一原発の廃炉費用も託送料に加算して、電力消費者全体で負担する枠組みが造られようとしています。それでは、グリーン電力を公平に扱っていることにはなりません。


今後日本において発送電分離が実現されても、送電事業者と配電事業者が大手電力会社の子会社となる見込みです。それでは、独立して中立な立場で事業を展開できません。託送料においても、不公平がより拡大されようとしています。市民は自由化が公平に行なわれるよう十分に監視し、必要に応じて異議を申し立てていかなければなりません。


(2017年3月16日掲載)

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