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2017年3月14日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言 − 1章 電力の小売りが全面自由化された
市場においてグリーン電力とは何か

ドイツの市場において、「グリーン電力」はどう定義されているのでしょうか。


ドイツでは、固定価格買い取り制度(FIT)の枠外で再生可能エネルギーによって発電された電力(FIT外電力)だけが「グリーン電力」とみなされます。自由化の初期段階では、こういう電力はほとんどありませんでした。ドイツでも2014年末時点で、FIT外電力はまだ電力全体の4%しかありません。


ドイツでは2014年1月から、FIT外電力であるグリーン電力に新しい電源証明制度が導入されています。それまでは、FIT外のグリーン電力であることを認証するだけの再生可能エネルギー認証制度が2002年から採用されていました。古い制度では、再生可能エネルギーで発電したという付加価値を証書に付与し、それを直接の電力の取引とは関係なく、証書の取引だけでグリーン電力の取引を証明しようとするものでした。証書の中間取引の実態は、把握されていませんでした。


それに対して現在採用されている電源証明制度は、証書の取引の流れをしっかり把握します。証書の流れに応じて、できるだけグリーン電力の流れを追跡しようとするものです。新制度ではまず、グリーン電力を取引する発電事業者とその発電施設、送電事業者、配電事業者、中間取引事業者、小売事業者を電子登録します。証書がこれら事業者間で取引される毎に、その流れが電子登録簿に記録されます。


電子登録簿は、ドイツ環境省の下級官庁である環境庁によって運用されています。登録された発電施設から電力が送電網に送られると、その電力量が施設と送電網の接続点にある電力計で自動把握されます。そこで測定される電力1000kWh毎に、電源証明証書が一枚電子的に自動発行されます。ただし、証書は1カ月毎にしか発行されません。


その証書が卸電力取引事業者ないし小売事業者に買い取られると、発電事業者側に登録されていた証書は「売却済み」と記録されます。売却済みとなった証書は、証書を買い取った業者の申請によってその業者に新登録されます。グリーン電力を消費者に供給する場合、小売事業者は所有する証書を「供給済み」と登録し、供給済みとなった証書の番号を供給した消費者の請求書に記載することが義務付けられます。


電源証明証書は、送電網の中にグリーン電力が送電されたことを証明するにすぎません。 発電事業者と小売事業者間で直接取引するか、電力の購入と供給の同時性を追求しない限り、証書とグリーン電力を一対一で取引するのは不可能です。証書は、送電網に送られた電力の一部を証書に記載された電力量分だけグリーン電力として販売、供給する権利を認めているにすぎません。


たとえ証書の取引が電子的にしっかり把握されても、証書を取引した後にすぐに電子登録しなければ、グリーン電力を取引したことにはなりません。その分を後で取り返すために原子力で発電された電力を供給しても、グリーン電力電源証明証書を使ってそれをグリーン電力だとすることもできます。こうしたごまかしは、防ぐことができません。


消費者にグリーン電力だけを供給する場合、FIT電力が約38%含まれていることを前提として、残りの電力に電源証明証書を集めます。ただドイツでは、FIT外で再生可能エネルギーによって発電された電力にしか電源証明証書が発行されません。その量には、限界があります。それに対してドイツ以外のEU加盟国では、FIT電力にも電源証明証書が発行されます。そのためドイツでは、国外で発電されたグリーン電力が輸入される割合が多くなっています。


FIT外電力は卸市場において、他の電力よりもかなり割高で取引されています。国内で発電されたFIT外電力だけを購入していては、価格競争に勝てません。オーストリアやノルウェー(EU加盟国ではありませんが)などから既存の水力発電施設で発電された安いグリーン電力を購入します。格安グリーン電力として販売されている電力のほとんどは、国外の水力発電によるものです。


こうして、ドイツの電力市場では再生可能エネルギーで発電された電力の取引量が増えてきました。しかし、既存の水力発電に対する依存度が増えるだけでは、本来増やすべき国内での風力発電や太陽光発電の割合が増えません。ドイツには、まだこうした矛盾があります。


(2017年3月14日掲載)

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