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2017年3月15日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言 − 1章 電力の小売りが全面自由化された
市民がエネルギーの地産地消を実現

ベルリンから南西方向に車で1時間半ほど走ったところに、フェルトハイムという小さな村があります。面積は16平方メートル、住民130人で、37世帯しかありません。すべて農家です。その村が世界中の注目を集めています。村では、住民自らが投資して電力を供給する配電網と、熱源を供給する地域熱配管網を設置しました。


フェルトハイム
フェルトハイムの風力発電パーク

きっかけは、村近くにできた約40基の風車からなる風力発電パークでした。風力発電パークは1994年から順次建設され、10年ほどかけて今の規模になりました。地元の農業協同組合が1998年に、農業から出る家畜の糞とトウモロコシの収穫後に残る葉や茎を使ってバイオガス発電もはじめました。村の住民有志が、地元で発電された電力とバイオガス発電によって出る熱を村で使うべきだと立ち上がります。


村の住民と風力発電パークを建設した企業が協議を重ね、住民が資金を出して独自の配電網と熱配管網を設置することになりました。そのために、組合と会社も設立しました。熱の供給が2009年末に、電力の供給が2010年秋にはじまります。


この試みに参加する住民1人当りの負担額は、全体で約3200ユーロ(2010年1月のレートで約40万円余り)。減価償却に15年かかります。


住民には現在、1kWh当たり16.6セント(2015年末のレートで約22円)で電気が供給されています。この料金は10年間、つまり2010年まで保証されています。ドイツでは、電気を年間3500kWh消費する一般家庭の1kWh当たりの平均電気料金は2010年で24セント(約31円)、2015年で29セント(約38円)です。


フェルトハイムでは、電気代がかなり安いことがわかります。1kWh当たり平均で、約10セント安くなっています。電気の年間消費を3500kWhとすると、電気だけで年間350ユーロ節約できます。減価償却期間の15年で、5250ユーロ節約できる勘定になります。初期投資が3200ユーロなので、十分に元が取れます。


風力発電パークで発電された電力は、平均でその半分が村に供給されます。余剰電力は固定買い取り制度(FIT)で売電されます。風力発電では、発電量が天候によって変動します。電力が不足すると、バイオガス発電で発電された電力を村に供給します。その余りはFIT制度で売電し、廃熱を地元の暖房と給湯の熱源として供給します。


地元の熱需要は夏に少なく、冬に多くなります。夏は問題なくても、冬の寒い時に熱供給量が不足する心配があります。そのため、おがくずを燃料とするボイラーをリザーブとして設置しました。夏の余剰熱については、熱の需要家をつくるためにソーラーパネルの架台を製造する工場を誘致しました。バイオガス発電後に残った残さは、家畜の飼料として地元の農地で利用します。


フェルトハイムでは、こうして再生可能エネルギーだけでエネルギーの需要を満たしています。住民自治によって、完全なエネルギーの地産地消を実現しました。ドイツでも、まだ数少ない事例の一つになっています。


2015年9月には、余剰電力を蓄電して地元で使うことができるように1万kWの蓄電池も稼働しました。


(2017年3月15日掲載)

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