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2017年3月18日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言 − 2章 発送電分離と送電網の整備
ドイツでは、完全な発送電分離に時間がかかった

ドイツでは、1998年の電力市場の自由化と同時に発電部門と送配電部門を分離しました。完全に独立分離するのではなく、経理上分離しました。電力会社内での子会社化を認めたということです。そのため、大手電力会社のグループ内において、発電から送配電までの縦構造が維持されたままとなりました。それまで発電から高圧送電までの事業しか行なっていかった大手電力会社が、市場の末端で電力の小売りを行なっていた都市電力公社を買収するなどして、小売事業にも進出します。


すでに述べたように、当時ドイツの電力市場には約700社の電力会社がありました。そのうち、約550社が都市電力公社など自治体の公営企業でした。しかし大手電力8社だけで、市場の80%以上を占有していました。自由化とともに、大手電力毎の事業展開エリアが撤廃され、ドイツ全国で自由販売競争がはじまります。


この時問題になったのは、電力を送配電する時に使用する(名目上ですが)送配電網に支払う託送料とその条件をどう規定するかでした。ドイツは、業界内の自主規制の形で規定する方法を選びます。これが、大きな問題を引き起こしました。業界内で権力を握っているのは、送配電網を所有する大手電力会社でした。新規参入事業者や中小事業者は、大手電力が都合のいいように決めた高額の託送料と不利な条件を受け入れさせられます。政府が仲介しようとしましたが、改善されません。自由な競争は不可能でした。


この不公平な状態が改善されたのは、2005年になってからです。電力市場の自由化を規定していたエネルギー事業法が改正され、送配電網の使用条件とその託送料を規制、監視する規制機関が設置されました。顧客数が10万人を超える電力会社に対しては、発送電部門の子会社化を認めず、送電部門を売却して完全分離するよう求めました。


その時、自由化発足当時8社あった大手会社は、業界は再編され、4社に統合されていました。エオン(E.ON)、エルヴェエ(RWE)、エエンベヴェ(EnBW)、バッテンファル(Vattenfall)の4社です。そのうち、3社は2011年までに送電部門を売却。エエンベヴェ(EnBW)だけが、まだ送電事業子会社を保持しています。エエンベヴェ(EnBW)には、同社の立地するバーデン・ヴュルテンベルク州が筆頭株主であるという特殊事情があります。州政府は現在、緑の党を中心とした政権。2020年までにエエンベヴェ(EnBW)の再生可能エネルギーの割合を40%までに引き上げるとしています。


ドイツの送電網はこうして、現在4社によって運用されています。4社は高圧送電網を所有し、高圧電力の送電だけを行ないます。


(2017年3月18日掲載)

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