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2017年3月18日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言 − 2章 発送電分離と送電網の整備
発送電分離で問題が発生する

ドイツで完全な発送電分離が達成されるまでにかなりの時間がかかったのは、すでに前項で述べました。その間、高圧送電網への投資が大幅に減少します。いずれ売却しなければならないのなら投資して整備する必要がないと、大手電力が投資を差し控えたからです。さらに、再生可能エネルギーの拡大で発電構造が大きく変化しました。その結果、ドイツでは現在、送電網の老朽化と容量不足が深刻で、整備に莫大な投資が必要になっています。


発送電分離前までは、発電部門と送電部門の調整は社内で行なわれていました。発電施設が新設される情報も、社内にありました。しかし分離後は、それまで社内で行なわれていた調整が情報交換も含めて、社外において事業者間で行ないます。調整結果はさらに、発電事業者と送電事業者の両方に拘束力を持ったものでなければなりません。


再生可能エネルギーによる発電では、発電施設が小型化して分散化して、発電施設数が急増します。施設を運用する発電事業者もそれぞれ異なります。発電事業者が送電事業者と調整しないまま、勝手に発電施設を設置していきます。送電網の整備が後手に回り、追いつきません。


ドイツでは、地形的に風力発電に適するドイツ北部で風力発電が広く普及しています。発電容量の大きい洋上風力発電も、北部の北海とバルト海でしか可能性がありません。それに対し、風力発電に適さず、原子力発電への依存度の高いドイツ南部内陸部においては風力発電が進んでいません。


そのため、ドイツ北部で風力発電の発電量が増える一方になっています。それに対し、ドイツ南部では原子力発電所が順次閉鎖されています。発電量の地域バランスが変わって、多量の電力を北部から南部に送電しなければなりません。電力供給システムにおいて、発電構造が大きく変化してしまいました。


ドイツの送電網(系統)に現在、その変化に対応できるだけの容量がありません。北部で強い風が吹いて発電量が急増すると、電力の安定供給を維持するため、風力発電施設を系統から切り離して解列しなければなりません。その時間数が増えています。


解列した場合、送電事業者は発電事業者に損害を賠償します。ドイツ北部のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州だけでも、2015年の損害賠償額は2億ユーロ(約260億円)超に上りました。そのコストは最終的に、電気料金に加算して回収されます。これも、電気料金が高騰する要因になっています。


日本でも、九州などで太陽光発電施設が解列されています。解列すれば、発電できない発電事業者に損害が発生します。しかし日本では、発電事業者が泣き寝入りするしかありません。再生可能エネルギーで発電された電力に対して、優先買い取り義務がないからです。このままの状態では、日本で大手電力に系統の容量を拡大させる圧力がかかりません。再生可能エネルギー発電事業者が送電において、大手電力に依存したままの状態が続きます。


日本で発送電分離が実施されて、この状態が改善されるのか。ドイツでの経験からすると、懐疑的にならざるを得ません。


(2017年3月18日掲載)

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