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2017年3月22日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言 − 3章 夜間、電気を使わないようにする
揚水発電は、原子力発電の子どものようなもの

ベースロード電源となる原子力発電は、常にフル稼働しているといいました。原子炉の発電量を調整できないわけではありません。加圧水型炉よりも沸騰水型炉のほうが、稼働中に発電量を調整しやすいといわれます。しかしそれによって、安全性に問題が出るほか、原子炉の寿命が短くなると指摘されます。原子力発電の出力を稼働中に調整しているところは、世界中どこにもないと思います。


発電量が一定で安定しているという点は、長所にも短所にもなります。発電量が一定で安定しているのは、最低必要な電力の電源としては最適です。しかし、一定量供給される電力が需要より多いと電力が余ります。余剰電力は、需要の少ない夜間に発生します。


夜間電力が安いのは、需要の少ない夜間に余剰電力が出るからです。余剰電力を安く売って、できるだけ多く使ってもらおうとします。たとえば、余剰電力を使って低い所に貯められた水を高い所にある貯水ダムにくみ上げ、電力の需要が増えると、くみ上げられた水を上から低い所に落として水力発電します。これが揚水発電で、こうした蓄電機能を持っています。日本では今後再稼働される原発が増えると、夜間に原子力発電で発電された余剰電力を蓄電するために揚水発電を使うことになります。揚水発電は元来、原子力発電の子どものような役割を果たしてきました。


ドイツでは、一般家庭において夜間の余剰電力を利用する夜間蓄熱暖房器が普及しています。夜間の安い電力で石を加熱して熱を貯め、暖房器として使います。この暖房器も、余ったベースロード電力を利用するためのものでした。しかしドイツ政府は、2009年4月に新しい夜間蓄熱暖房器の使用を禁止します。それは、夜間に省エネするためでした。しかし2013年、夜間蓄熱暖房器の使用を再び認めます。それは、風力発電の普及で夜間の余剰電力が増えたからでした。夜間蓄熱暖房器は、発電量の調整が難しい風力発電の余剰電力を有効に使う手段として復活します。


脱原発を決めたドイツでは、揚水発電も再び注目されるようになってきました。それで、夜間風力発電された余剰電力を蓄電します。たとえばドイツ南東部テューリンゲン州のシュマールヴァッサーでは、既存の貯水池に貯まった水を夜間の余剰電力で高い所にくみ上げるため、約285メートル上に上部貯水池を設置して出力約100万kWの揚水発電所を建設することが計画されています。ダムは元々、地元に水道水を供給するためのものでした。水道水の需要が減ったことから、貯水池の水はもう2005年から使用されていません。それを揚水発電に利用しようという計画です。総投資額は約14億ユーロ、約1900億円に相当します。


上部貯水池をつくるため、山上部の森を伐採して穴を掘らなければなりません。これは、自然破壊になります。この地は、テューリンゲンの森の南端に位置します。上部貯水池の計画されている近くには、レンシュタイク(Rennsteig)と呼ばれる170キロメートルに及ぶハイキングコースがあります。ドイツでも最も歴史のあるハイキングコースの一つです。冬になると、スキーのクロスカントリーを楽しむ市民がたくさん集まります。


地元では、建設計画に反対する市民グループも結成されました。自然保護か余剰電力の有効利用か、あるいはその他の方法があるのか、市民は選択を迫られます。


(2017年3月22日掲載)

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