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2017年3月30日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言 − 6章 何を買うかで、エネルギーの利用を選択している
地産地消のドイツビール

ドイツでは、ビールはほとんど瓶ビールです。瓶にはビールを買う時にデポジットを払い、瓶を返すとデポジットが返ってきます。ビール瓶は、何回も使用されるリターナブル容器となっています。


ドイツでも、缶ビールが増えた時期がありました。しかし、缶ビールは環境に与える影響が大きいとして使い捨ての缶ビールにもデポジットが課され、消費者は瓶ビールに戻ってきました。


ゴミの抑制と資源ゴミの再利用、リサイクルを進めるため、ドイツでは1990年代のはじめに包装材令ができました。それが、ドイツでリサイクル社会を築き上げる基点となった政令です。同令は、何回も使用するリターナブル容器の割合を容器全体の最低72%と規定し、それを下回った場合、使い捨てのワンウェイ容器にデポジットを課すとしています。


リターナブル容器を優先するのは、何回も使える容器のほうが容器の製造に使われるエネルギー消費が少なく、全体として環境に与える影響が少ないからです。 しかしドイツではリターナブル容器の割合が減る一方なので、2003年からワンウェイ容器にリターナブル容器より割高のデポジットを課すことになりました。


これはむしろ、逆効果でした。リターナブル容器の割合が増えたのは、ビールだけでした。瓶ビールの割合は、80%以上に上昇します。しかしそれ以外の飲料では、リターナブル容器の割合が大幅に減少します。現在リターナブル容器の割合は、全体で50%を割ってしまいました。


ベルリンのスーパーマーケットで取材したことがあります。レジの前に立って、支払いの終わった買い物客にインタビューしました。その時、ほとんどの買い物客がデポジットの課せられた容器はすべてリユースされる、つまりリターナブル容器だと思っていることがわかりました。


ワンウェイ容器には、その素材がリサイクルされることを示すワンウェイ容器のマークがついています。しかし消費者は、ワンウェイ容器にもデポジットが課せられたことで、ワンウェイ容器とリターナブル容器を区別することができなくなったのでした。


ビールだけでリターナブル容器の割合が増え、その他の飲料でリターナブル容器が大幅に減ったのは、一つにロジスティック上の理由からです。


ビール瓶のようにリターナブル容器を何回も使用するには、空瓶をスーパーマーケットで回収した後、ビールメーカーの工場に返送しなければなりません。ビールメーカーが国内の大工場で大量生産していたら、生産はごく少数の大工場に集中します。スーマーパーケットで回収された空瓶は長い距離を輸送して、大工場まで返送されなければなりません。それでは、空瓶で空気を運んでいるのと同じ。エネルギーを無駄に消費するだけです。


ドイツには、大きなビールメーカーがありません。ほとんどが中小メーカーで、国内各地に分散されています。全国で販売される全国品のビールは、ほとんどありません。ビールは地元産のものが、地元中心に飲まれています。ドイツでは、ビールも地産地消となっているのです。だから、空瓶を遠く離れた大工場まで輸送する必要がありません。それが、主にビール瓶だけがリターナブル容器となっている一つの理由です。


PETボトルの多くはワンウェイ容器となっていますが、PETボトルについても同じことがいえます。ドイツでPETボトルをリターナブル容器にしている飲料メーカーは、地元を主な販売地域とするミネラルウォーターの中小メーカーとコカコーラくらいしかありません。コカコーラは、小さな0.5リットルボトルでさえもリターナブル容器にしているほとんど唯一の飲料メーカーです。


大手のコカコーラがなぜ、と思ってしまいます。コカコーラは実は、ドイツ各地で中小飲料メーカーを買収してドイツに進出してきました。そのため、工場がドイツ国内各地に分散されています。ビール瓶と同じように、空ボトルを長い距離輸送する必要がなく、環境にやさしいリターナブル容器を使いやすいロジスティック上の条件が整っています。コカコーラという大手であっても、飲料を地産地消しています。


日本のようにワンウェイ容器が主流の国では、容器を回収してリサイクルするからいいと思われがちです。でも、リサイクルするにもたくさんのエネルギーを使います。それに対して、リターナブル容器は洗って何回も使用します。容器の表面が傷んで白くなったら、リサイクルします。それによって、容器に使用する資源と製造に必要なエネルギー消費を削減します。


単に飲料の容器だといえども、ぼくたち消費者はどの容器を選ぶかで、エネルギー消費を多くするか、少なくするかを選択しています。それが、飲料の地産地消と深く関係していることも知っておきたいと思います。


(2017年3月30日掲載)

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