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2017年4月03日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言
8.  交通の未来
グリーン電力で走るドイツ鉄道

ドイツ鉄道カード(Bahncard)は、運賃の割引カードです。25%割引と50%割引、100%割引の3種類のカードがあります。それぞれ規定の年会費を支払えば、乗車券を買う毎に、その分が割り引かれます。写真は、ぼくの持っているドイツ鉄道カードです。ぼくは25%割引カードを選びました。50%割引カードは正規運賃に対してしか割引がききません。25%割引カードだと、格安運賃に対しても25%割引が効くからです。カードは、1年毎に自動更新されます。


カード真ん中上右に白抜きで「25」と割引率の入った帯状エリアが、2013年4月から赤色から緑色に変わりました。それとともにドイツ鉄道は、ドイツ国内の長距離列車を利用するドイツ鉄道カード所有者はすべて、再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力で移動することになると発表しました。


ドイツ鉄道は企業戦略として、2020年までに長距離列車(中近距離列車を除く)を100%再生可能エネルギー化すると打ち出しています。2013年4月の段階で、長距離列車の走行距離全体の75%が再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力で運行されています。


ドイツ鉄道によると、グリーン電力購入で発生するコスト増はドイツ鉄道自身で負担しているといいます。ただ再生可能エネルギーといっても、実際には既存の水力発電所で発電された安い電力が使われていると見られ、それほど負担増にはなっていないと思います。


同じく2013年4月から、環境意識の高い乗客向けに一人当たり片道1ユーロの割り増し料金を支払う環境プラス運賃も導入されました。この場合も、100%グリーン電力で移動します。


ドイツ鉄道カードは、ポイントカードともなっています。カードで乗車券を買う毎に、ポイントも集めることができます。集めたポイントで一般商品を買うこともできます。さらに植林プロジェクトに寄付したり、家庭でのグリーン電力を購入するためのクーポン券に換えることもできます。社会福祉施設に寄付することもできます。集めたポイントをどう使うかは、所有者次第です。


ドイツ鉄道によると、ドイツ鉄道カードとグリーン電力を組み合わせたのは、あくまでも営業戦略だったということです。ドイツ社会で環境問題の議論が活発化し、再生可能エネルギーへのエネルギー転換が決定されたことが、背景にあったといいます。その背景がなかったら、こういう戦略は取らなかっただろうと説明がありました。


利用者は、カードのことをどう見ているのでしょうか。ドイツ鉄道の委託で行なわれた市場調査によると、乗客はやはり、カードを所有することによる運賃割引に魅力を感じています。ただ、カードを所有すればグリーン電力で移動することになると、乗客がはっきり意識していることもわかりました。


グリーン電力化を長期に続けていくには、乗客の信頼を得る必要があります。ドイツ鉄道は自主的に、グリーン電力商品の認証を行なっているテュフ・ズュート(TÜV Süd)にグリーン電力の利用状況を審査、認証してもらっています。ドイツ鉄道は、2050年までに中近距離鉄道も含め、鉄道をゼロエミッション化することを企業ビジョンに掲げています。


ドイツ鉄道の事例から、鉄道など交通においてもぼくたち消費者が自分の希望に応じて、エネルギー源を選択できることがわかります。


ドイツ鉄道はさらに後述するように、都市間は列車で走り、都市に着いたら電気自動車で市内を移動するカーシェアリング事業も進めています。それによって、移動の100%再生可能エネルギー化を実現します。ドイツでは現在、100万人以上がカーシェアリング会員として登録されています。


ベルリンなど大都市では、自転車専用道路が整備されています。ドイツ鉄道はそれを効果的に利用するため、乗り捨て可能な自転車レンタル事業も開始しました。自転車はすべて、デジタル化されています。会員登録しておけば、市内のどこかでドイツ鉄道の自転車を見つけたら、携帯電話でレンタル自転車の申込と解錠、乗り捨てる時にレンタルの終了と施錠ができます。料金は、クレジットカードから自動決済されます。



(2017年4月03日掲載)

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