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2017年4月06日掲載 − 脱原発・自然エネルギー − エネルギー選択宣言 − 8章 交通の未来
移動の方法を自分で選ぶ

これまで交通の未来について、いろいろな可能性を述べました。しかし将来、交通がどういう方向に進むのかはまだわかっていません。現在、実用化に向けていろいろな可能性について技術開発が行なわれています。一つの技術ですべての需要をカバーできるのかどうかもわかりません。ぼくは、それは無理だろうと思っています。同じ自動車にしても、電気自動車なのか、水素自動車あるいは燃料電池車なのか。消費者が自分のニーズ、好みに合った自動車を選択していくことになると思います。


ぼくたち現代人は、その方向性の決まる過渡期にいます。


自動車を使うのか、鉄道を使うのか、あるいは飛行機で移動するのか。それは、利用者がエネルギーの消費を選択することになります。エネルギー消費を選択した結果によって、自分自身が地球の環境にどういう影響を与えるのだろうか。そして、それが後の世代にどういう影響をもたらすのか。それは、個人が生活の中で責任を持って考えたいと思います。


ドイツ環境省の下級官庁である環境庁が発表しているところでは、1キロメートル移動するのに排出される一人当りの温室効果ガスは、飛行機が273グラム、自家用車が142グラム、バスが32グラム、鉄道が11グラムとなります。


鉄道で移動したほうが、飛行機を使うよりも二酸化炭素の排出量が25分の1も少ないことになります。鉄道が近い将来再生可能エネルギー化されれば、鉄道で移動するほうが環境にやさしいのはもっと明らかになります。列車によって4時間で目的地にいけるところであれば、飛行機に乗ろうが、鉄道で移動しようが、出発地から目的地までかかる時間はほとんど変わりません。


その時、飛行機を選ぶのか、それとも列車に乗るのか。格安航空会社が登場した現在、どちらが安いかで判断して飛行機に乗る人も多いと思います。人々に移動手段の切り換えを促すのは、とても難しい問題です。しかし、二酸化炭素の排出による温暖化で異常気象の頻度が増えれば災害が起こり、復旧のための社会コストが増えます。そのコストは国が負担し、最終的には納税者負担となります。


社会コストは、安い飛行機の運賃には含まれていません。全体として実際にどちらが安いのか。それは、単に運賃を比較するだけでは判断できません。


ドイツの大都市では、カーシェアリングサービスが結構普及してきました。自分では車を持たずに、車に乗りたい時だけに車を借り、消費者が共同で車をシェアして使います。ぼく自身も車を持たずに、あるカーシェェアリングの会員になっています。車を持っていた時よりも、車に乗る時間が格段に減りました。普段は公共交通を使い、健康のために1駅か2駅手前で降りて後は歩いています。それによって、ベルリンという大都市で渋滞の中で運転し、長い時間かけて駐車場を探さなければならないストレスから解放されました。


また、ドイツの大都市では自転車専用道路が増えてきました。自転車専用高速道路を設置する計画もあります。この時、エネルギー源は人力です。市民が自転車で移動すれば、大都市の渋滞が緩和されます。エネルギー消費も減ります。


これまで見てきたように、現在の交通システムにおいても、消費者はエネルギーの使い方を自分で選ぶことができます。ぼくたちは今、どの交通手段を選択し、エネルギーの消費についてどう選択しているのでしょうか。その時、ぼくたち現代人には、今享受しているのと同じ環境と移動の利便性を後世世代に残していくことに責任があることを自覚したいと思います。


ぼくたちは今、後世世代のためにもエネルギーを選択しています。


(2017年4月06日掲載)

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