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2017年11月23日掲載 − 脱原発
引当金は大丈夫?

日本では、原子力だけで発電している日本原子力発電(原電)が廃炉のために蓄えておいた引当金を原発を新設する資金として運用していたことが明らかになった。その結果、原電では廃炉する資金が大幅に不足していると見られる。


この問題は、ドイツでもあった。ドイツの電力業界は、電気通信市場が自由化された時に電気通信事業などに進出し、その時の資金を最終処分や廃炉のために準備してあるバックグランド引当金から運用したと見られる。


6年ほど前だったろうか。ドイツで3.11後に脱原発が確定した時に、当時の環境大臣に会見で、バックグランド引当金が実際に現金としてあるのかどうか、さらにその引当金額が適性かどうかなどの監査は、国としてやっていないのかと質問したことがある。


その時の大臣の回答は、バランスシート上に引当金が計上してあるので問題ない、そしてそれが実際にあって、適切かどうかは各社の会計監査会社が監査しているというものだった。それについて、ぼくは国としてはバランスシート上で計上してあればよし、会計監査会社がよしとすればよしというふうに解釈した。


2016年に政府の委員会が、このバックグランド引当金を国が最終処分などのために拠出させて国家基金を造ることで協議している時、電力側が実際に引当金としてどれほど手元に現金を持っているかが大きな問題になった。委員会は、この問題で直接電力側にヒアリングした模様だ。


その時ドイツは、中間貯蔵から最終処分までを国の管轄で行なうことに変更し(それまでは中間貯蔵は電力管轄だった)、廃炉だけを電力管轄にして引当金を分け、電力側に最終処分の資金を基金に拠出させることになった。


その額について合意する時、電力側の現金資金保有状況が配慮されたのは間違いない。最終処分においてその額で足りなくなったら国、つまり納税者負担になるということだ。


ぼくはこの問題を協議する委員会を聴講させてほしいと申込んでみたが、非公開だとして断られた。


廃炉については電力側にすべて任せたままで、その分の引当金が不足しようがしまいが、すべて電力側の責任に委ねたことになる。


ドイツでは電力大手が発電ではビジネスできなくなっているので、会社を再編してきた。採算の合わない部門は、いわゆる「バッドバンク」化して別会社にした。ただ電力大手EonのCEOによると、原子力部門はバッドバンク化せずに、採算性のある新会社のほうに移転するように政府から指導があったという。


まあ国としては、それで少なくとも廃炉資金を担保したということなのかもしれない。


なおドイツではこの引当金は非課税だが、これまでそれでは隠し利益が課税されないのと同じなので課税すべきだとして何度となく議論されてきた。だが、結局そのまま課税しないまま、引当金は国と電力側に分配されてしまった。


(2011年11月23日、ふくもと   まさお)
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