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2018年6月12日掲載 − 脱原発
廃炉のためにも中間貯蔵が必要

ドイツでは、原発の各サイトに中間貯蔵施設が設置されている。


ドイツでは90年代はじめに、国内での再処理を諦めたのに続き、使用済み核燃料の直接処分を可能とした。そのため90年代後半から、使用済み核燃料を最終処分するため、まずゴアレーベンとアーハウスにある中央中間貯蔵施設に使用済み核燃料を保管し出した。


ただそのためには、使用済み核燃料を原発から中間貯蔵施設に輸送しなければならない。しかし、それが反原発派が妨害する絶好のターゲットになった。それによって、原子炉内にある貯蔵プールが一杯になって燃料交換できなくなり、原発を継続的に運転できなくなる心配があった。


98年に社民党と緑の党の連立政権が誕生すると、脱原発とともに各原発サイト内に中間貯蔵施設を設置して、使用済み核燃料を中央で中間貯蔵せずに、原発サイト内に中間貯蔵できるようにして原発の継続的な運転を保証した。


これは、原発の運転を保証するかわりに、脱原発を認めてほしいとするドイツ政府と電力業界の取引だったといってもいい。


その背景には、中間貯蔵が元々電力側の管轄で行なわれ、国の管轄ではなかったこともあったと見られる。


中間貯蔵施設を原発サイト内に設置して、中間貯蔵を分散化させることには、原発のある地元などで大きな反対が起こった。しかし廃炉を進める段階に入り、それが間違っていなかったこともわかってきたと思う。


それは、なぜか?


廃炉を実施するには、中間貯蔵施設が原発サイト内にあったほうがより安全だからだ。


廃炉によって、たくさんの低中レベル放射性廃棄物が排出される。あれだけ巨大な原発だ。原発の管理区域にあるものは、すべて放射性廃棄物となる。それをそのまますべて最終処分していては、最終処分場にいくら容積があっても足りない。地層処分では、そんなにたくさんの場所を地下に確保するのは不可能に近いといってもいい。


中間貯蔵施設
測定でクリアランス基準をクリアした廃棄物
運び出されるのを待つ

放射性廃棄物の量を少なくするため、放射性廃棄物を除染し、国際的なクリアランス基準を下回れば、一般廃棄物ないし産業廃棄物として処分する。あるいは、再利用、リサイクルする。このクリアランス基準の問題については、別の機会にまとめたいと思う。


ただ、除染もそう簡単にできるものではない。まず解体されたものを細かく切って小さくする。汚染がひどいものは、ロボットを使って水中で切る。


除染作業は、原発サイト内の除染施設で行なわれる。だが、除染施設にすべての放射性廃棄物を保管しておくわけにはいかない。まず放射性廃棄物を安全に保管し、除染の順番を待たなければならない。そのためには、どうしても原発サイト内に中間貯蔵施設があったほうが安全だ。使用済み核燃料と一緒に施設内に保管しておけばいい。


除染してもクリアランス基準を守れないものは、再除染するか、放射性廃棄物として処分するか判断し、再び中間貯蔵施設に保管しなければならない。廃炉において、こうしたプロセスは日常茶飯事である。


その他放射性廃棄物を減らすため、ドイツではたとえば、その金属を電気炉で溶かし、その上澄みを砂のようなもので固めて取り除いている。溶けた金属は、鋳型に入れてインゴット(円筒のかたまり)にする。上澄みには放射性核種のほとんどが貯まっており、それを取り除くことで、金属のインゴットは金属製品に加工してリサイクルできるという。インゴットがクリアランス基準を守れない場合は、高レベル放射性廃棄物の輸送・保管容器(キャスク)をつくる素材とする。


その電気炉が、ドイツ西部のある鋳物工場にある。筆者はその工場を取材したことがあるが、電気溶解によってセシウムなどのガンマ核種ばかりでなく、ストロンチウムなどのベータ核種もほとんど取り除くことができるという。気になるのはアルファ核種のプルトニウムだが、こちらは比重が高く重いので、このプロセスで取り除くには限界があるということだった。


廃炉では、排出される放射性廃棄物が莫大な量になる。最終的に放射性廃棄物として処分されるのは、排出される廃棄物の最高5から10%制度だと見られる。それでも、放射性廃棄物を少量化することがとても重大な課題だ。最終処分場ができたとしても、たくさんの放射性廃棄物を一度に最終処分場に搬入することはできない。ここでも、放射性廃棄物を長い年月保管して、最終処分場へ順次搬出するしかない。


こうしたプロセスを考えると、原発サイトに中間貯蔵施設を設置するのは、廃炉の安全性をより高くする意味でとても重要だと思う。


その意味で、ドイツ政府が廃炉に向けて、中間貯蔵も国管轄にしたのは間違っていないと思う。


(2018年6月12日)
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