2017年3月16日掲載 − HOME − エネルギー選択宣言一覧 − 1章記事
電力小売事業者を変える

ドイツの場合、自由化後に起こった問題は託送料の問題だけではありません。小売り自由化に伴って消費者が電力供給契約を解約すると、元の電力会社からいやがらせを受けました。たとえば、 解約と同時に電力の供給がストップされました。解約した場合、契約が失効するまでに三カ月の解約期間があります。その期間は、元の電力会社が電気を供給しなければなりません。しかし事前通知もなく、三カ月を待たずに電気を切られて電気のない生活を余儀なくされた消費者がいました。


ドイツでは、毎月支払う電気料金が前年の消費量をベースに電力会社側が計算した定額料金となっています。年末に実際に消費した量で年間消費額を算出し、その差額を精算します。その時に、追加料金を請求されることもあれば、払い過ぎで払い戻されることもあります。払い過ぎがあっても、解約後に元の電力会社が返金しないケースもありました。解約後に、本来契約にない解約料を請求された消費者もいました。


新しく契約した小売事業者が、電気メータを読み取れないことも起こりました。電気メータが元の電力会社のものだからです。そのためドイツでは、ガスや水道、暖房熱源、電気の消費量の読み取りを、第三者企業に委託するようになります。


これらの問題は、電力業界内で事前に話合って合意されておれば起こらなかったはずです。でもドイツでは、自由化後電力大手が新規参入業者にいやがらせ行為をして、市場から閉め出そうとしました。


現在、消費者は契約を自分で解約しなくてもいいようになっています。新しく供給契約を結んだ小売事業者が、解約手続きをします。2005年に電力市場の公平な競争を監視、規制する機関が決まると、いやがらせもなくなっていきました。


日本では自由化と同時に、新たに供給契約を結んだ業者が解約手続きを行なうことになっています。電気メータについても、通信機能のあるスマートメータへの切り替えが行なわれ、通信機能を使ってメータの読み取りができます。ドイツで起こったような大手電力会社によるいやがらせ行為が、日本では起こらないよう願って止みません。


(2017年3月16日掲載)

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