2017年3月28日更新 − HOME − エネルギー選択宣言一覧 − 3章記事
夜間は、グリーン電力でも使わない

たとえ再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力を供給してもらっていても、夜間は電力をできるだけ使わないようにしたいと思います。それはなぜか。


一つに、夜間にグリーン電力が十分に発電されているかどうかという保証がないからです。夜間グリーン電力を供給してくれるエネルギー源は、主に中小水力、地熱、風力です。ここで、最も発電量が多くて頼りになるのが風力です。ただ風力発電は天候に左右されやすく、風がないと発電できません。何らかの蓄電技術が普及しないことには、夜間常にグリーン電力が供給されているという保証がありません。特に日本では風力発電の割合が非常に少ないので、グリーン電力の需要を夜間に満たせるのかどうかとても疑問です。


電気を貯蔵する技術が普及すれば、この問題は解決できます。しかし、それまでにはまだ時間がかかります。


もう一つは、夜間の電力消費を少なくしたいからです。これは、ベースロード電力の需要を減らすということです。日本では省エネ化が進んでいますが、その効果は主に電力需要がピークになる時しか発揮されません。省エネ家電製品が普及しても、たくさんの家電製品が使用される時間帯にしか省エネ効果が生まれないということです。


それに対し、常に使われるベースロード電力の消費量を減らすと、省エネ効果がより一層大きくなります。家電製品の省エネ効果に頼るだけではなく、どうしても必要な時以外は、電気を使いません。夜間必要ない照明器具に電気をつけたまま寝ていないでしょうか。無駄な電気の浪費は避けたいものです。エネルギーを浪費するかしないか、それはぼくたち消費者の判断と意欲に依存します。


日本の電力小売事業者の新料金メニューを見ると、電力消費量が多ければ多いほど電気料金が安くなっています。夜間料金を割引しているものもたくさんあります。携帯電話プロバイダーの通信サービスとセットにしているものもあります。


日本の新料金メニューは、電気はできるだけ使ってほしい、夜間もたくさんの電気を浪費してほしいといっています。省エネすることは考えられていません。本気で省エネを目指すのであれば、1kWh当たりの料金は消費量が多いほど高くすべきです。それでは大家族に不公平になるので、家族構成を考えた料金体系があってもいいと思います。


再生可能エネルギーが普及してグルーン電力化が進むと、電気料金は将来、おそらく夜間ではなく、日中に一番安くなると見られます。電気が貯蔵できるようになると、夜間電気を割引してまで余剰電力を消費してもらう必要はありません。その結果、一日のうち電力需要がピークとなる昼間に価格競争が最も激しくなり、その時間帯で価格が下がってくると見られます。


電力供給システムがスマートグリットやスマートメーターなどでデジタル化されると、電気料金は時間毎に変化します。消費者は、スマートメーターでいつも一番安い電気を供給してもらえるようになります。あるいは、電話のように電気フラットレートという料金体系が出てくるのもそう遠いことではないと思います。


再生可能エネルギーには、燃料費などの限界費用がありません。電力の取引価格は限界費用をベースに決まるので、再生可能エネルギーの割合が増えるにしたがい、電力の取引価格は限りなくゼロに近づきます。容量市場も登場してきますが、それは電力消費量とは関係ありません。だから、フラットレートが可能となります。ただそうなると、電気が使い放題になってしまうのも心配です。


どういう料金体系になろうが、ベースロード電力において省エネしなければならないのは変わりません。夜間、電気をできるだけ使わないようにすることです。


(2017年3月23日掲載)

前の項へ←←      →→次の項へ        →目次へ
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ