揚水発電の例からもわかるように、電気はそのままの形で貯蔵することができません。それに対して熱は、お湯としてタンクに貯蔵しておくことができます。ドイツでは、住宅の地下にお湯を貯めておく熱貯蔵タンクを設置するケースが増えてきました。
前述したリヒトブリック社のコジェネレーションシステムも、熱は一旦地下のタンクに貯蔵して使います。屋根に太陽熱温水器があれば、熱くなったお湯を地下のタンクに貯めておくこともできます。お湯の温度が十分でなければ、ガスで加熱します。水から加熱するわけではないので、その分ガス消費量を節約できます。
ドイツの連邦議会(下院)議事堂では、地下深くに温かい熱(温熱)用のタンクと冷たい熱(冷熱)用のタンクが設置されています。バイオディーゼルで稼働するコジェネレーションシステムから出る廃熱は、温水として地下300メートルにある岩盤層(温熱タンク)に貯めます。寒くなると、その温熱を暖房に使います。冬期には、冬の冷たい地下水を地下60メートルのタンクに冷熱として貯めておきます。それを夏の冷房に使います。
ドイツ連邦議会議事堂では、温熱と冷熱を地下に貯蔵している (イラスト:たなかゆう)
(2017年3月24日掲載)
前の項へ←← →→次の項へ →目次へ |