さよなら減思力

ベルリンとクマ

 ベルリンの紋章には、クマの立つ姿が描かれています。すでに13世紀後半から、ベルリンの紋章にはクマが入っていたといわれます。その時は、鷲と一緒でした。

ベルリンの赤い市庁舎入口横にあるベルリンの紋章

 「ベルリン」ということばの語源は、ドイツ南東部の少数民族であるゾルベン人のことばであるゾルベン語からきています。「沼地」とか、「湿地」という意味だそうです。クマとはまったく関係がありません。

 クマは「ベルリン」という意味からではなく、その音からきています。ベルリン(Berlin)の「BER」の音がドイツ語のクマ「Bär(ベア)」に近いので、その音から紋章の図柄がクマになったとされています。

 Berlinを「ベルリン」と発音、表記しては、その背景がわかりません。日本語では、どうしてそうなってしまったのでしょうか。

 日本人には、「r」と「l」の違いをはっきり発音するのがたいへん難しいのです。「r」をつい「l」で発音してしまっていることがよくあります。ドイツ語の「r」は、口の奥に下がるのどちんこ(専門的には口蓋垂)を振るわせるか、舌を振るわせて「ア」と、お腹から息を出して発音します。語気を強くしてはっきり発音すると、それが「ル」に近く聞こえます。それで、日本語では「r」を「ル」と表記するのが慣用になってしまったのではないかと思います。

 そのため、ベルリンの紋章にクマが立っているのが「ベア」=クマからきていることがわからなくなってしまったのです。

 なおベルリンでは、シンボルである「ベルリンのクマ」が長い間、市内で飼われていました。ただそれには、動物保護上の問題から批判があったのも事実です。2015年11月、最後のクマを健康上の理由から薬殺しなければならなくなりました。それ以降、「ベルリンのクマ」はもう飼われていません。

(2017年8月26日、まさお)

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