ケーキとトルテ

 日本語で「ケーキ」というと、一般にはスポンジケーキにクリームを塗って果物などを載せるデコレーションケーキが思い浮かびます。その他にも、焼き菓子全体をケーキといってしまうこともあります。ホットケーキやチーズケーキのように、単に焼いただけで、デコレーションをしないケーキもあります。

 日本語の「ケーキ」は、ドイツ語では「クーヘン(Kuchen)」に相当します。ドイツ語には、その他に焼き菓子を表現することばに「トルテ(Torte)」ということばもあります。

 ある時、ベルリンにも来たことのある福島市のカフェ「椏久里珈琲」の市澤美由紀さんから、「クーへン」と「トルテ」の違いは何ですかと、問い合わせがありました。

 椏久里(アグリ)は、福島県飯館村で森の中のカフェとして開業しました。しかし、三・一一の原発事故で飯館村が避難区域になったことから、現在福島市に移転して営業されています。 お店では、ドイツ語の名前のついた自家製のおいしいクーヘンとトルテを食べることができます。

 正直いうと、ぼくはそれまでその違いについてよく知りませんでした。ちょっと調べてみてわかりました。

 クーヘンとは、デコレーションをせずに焼いたものをそのまま食べるもの。焼いた後に粒子の細かい粉砂糖をかけてあっても、クーヘンといいます。クーヘンでは、それ以外何も手を加えません。トルテは、焼いた後にクリームやチェコレート、果物などでデコレーションするものをいいます。ドイツでは、その違いがはっきりしています。

 でも日本ではよく、クーヘンもトルテも区別せずに「ケーキ」といっています。日本ではデコレーションケーキのほうが圧倒的に多いので、本来は「トルテ」が主流だということになります。

 日本では「ケーキ」という表現が、焼き菓子全体を総称しているということもできます。ケーキそのものが欧米から輸入されたものなので、日本ではその区別がなく、曖昧さがあっても仕方がないのだろうと思います。

(2017年9月12日、まさお)

椏久里珈琲の自家製ケーゼクーヘン(左) 「ケーゼクーヘン」とは、ドイツ語でチーズケーキのこと(椏久里珈琲提供)
パパゲーノトルテ(右)
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