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近親相姦は犯罪か
(2007年2月23日)

ドイツでは、直系血族と兄弟姉妹間の近親姦は刑法第173条で禁止されており、この規定を犯した場合、3年以下の懲役刑に科せられる。この規定の背景にあるのは、近親姦では障害児が産まれる確率が高いからということだ。


だが、近親姦を有罪とすると、誰と性交するのか、誰と家庭を築くのかという問題で、個人の自由を侵害していないのか。ここには、憲法上の問題がないのか。さらに、モラルの上からタブーとなっている問題を法的に規制できるのか。


シュピーゲル誌によると、ドイツ東部ドレスデンに生活する若いカップルがこの問題に対して訴訟を起こすという。


このカップルは兄妹だ。兄のパトリックさんは、18歳の時にはじめて実母と、実母と一緒に暮らす妹のズーザンさんと対面した。2000年のことだった。それまで、親子は別々に暮らしていた。パトリックさんが養子に出されていたからだ。しかし、実母はその半年後に死亡。その後、兄と妹は愛し合うようになり、現在、二人には4人の子供がある。そのうち、二人は障害児だ。


パトリックさんは妹ズーザンさんとの近親姦によって、これまでに3回、有罪判決を受けた。一回目は執行猶予付きだったが、その後は実刑判決を受け、すでに3年4ヶ月間、刑務所での生活を余儀なくされた。ズーザンさんは成人した後、保護観察処分に科せられている。


このカップルが提訴することをきっかけに、ドイツの政界では、近親姦は本当に犯罪なのかという議論が起こっている。


緑の党のモンターク連邦議会議員は21日のヴェルト紙に対し、「近親姦を罰するのは、21世紀にはマッチしない。モラルは刑法では規制できない」としている。左派党のミコヴィッチ連邦議会議員は、高齢出産でも障害児が産まれる可能性が高いのに、障害児が産まれる確率が高いからという理由で近親姦を罰するのはおかしいとする。


(2007年2月23日)
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