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シロクマの赤ちゃんは、ドイツ統一のシンボル
(2007年3月24日)
シロクマの赤ちゃん

ドイツは現在、3ヶ月半のシロクマの赤ちゃん「クヌート」にメロメロ状態だが、クヌートは、カナダ生まれのトスカを母に、ミュンヒェン生まれのラルスを父に持つ。


ただ母のトスカは、86年に東ドイツに連れてこられた。当時はまだ7ヶ月だった。そして、シロクマの調教師ウルズラ・ベッチャーさんによって調教され、サーカスの舞台で活躍していた。


しかし、東西ドイツ統一によって、東ドイツ時代には重要な文化機関であったサーカスはやっていけなくなる。サーカスのオフシーズンになると、動物たちは狭い檻の中に閉じ込められる状態が続いていた。


最終的に、東ドイツのサーカスは解体され、トスカは99年に西ベルリンの動物園に引き取られた。つまり、東西ドイツの統一がなければ、クヌートは生まれていなかったのだ。


当時、調教師のベッチャーさんは、サーカスで育ったシロクマを動物園に渡すのに反対したという。まったく環境の異なる場所に置かれることになるからだ。


シロクマは猛獣の中でも、最も調教しにくい動物といわれ、シロクマの調教師は世界でもたいへん珍しい存在だった。だから、ベッチャーさんは東ドイツ時代においても、世界のサーカス界の花形的存在だった。そのベッチャーさんもまもなく80歳となる。


クヌートはベッチャーさんにとって孫のようなもの。でも、ベッチャーさんはクヌートのことについては語りたがらない。


(2007年3月24日)
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