2019年12月10日掲載 − 小さな革命
「東ドイツの人々」の写真連載を終えて

今年2019年11月9日で、ベルリンの壁が崩壊して30年となった。それを機会に、2019年5月から今日2019年12月10日まで、ほぼ毎日のように東ドイツ時代に撮った東ドイツ市民の写真をインスタグラムに投稿してきた。


これは、ぼくが東ドイツで働いていた機会を利用して、東ドイツの一般市民の生活を撮っておきたいと思ったからだった。


東ドイツの市民は、とかく政治的なイデオロギーという先入観からしか見られてこなかった。しかし一般市民の生活は、どこであろうが、イデオロギーが何であろうが生活である。それを撮っておきたいと思った。


ただ当時は、週末も働いていることが多かった。仕事の合間を縫っては、車でベルリンにいった。


ぼくが働いていた地方都市では、市民の写真を撮っても誰かすぐにわかってしまう。秘密警察に監視されていた当時の東ドイツ社会では、匿名であることが大切だった。だから、大都市であるベルリンにいった。


本当は、普段の生活そのものの写真を撮りたかった。でもこうした制限から、イベント写真になってしまったのは、とても残念だ。今から思うと、ぼくの力の足りなかったところだとも思っている。


写真自体も、そんなにいい写真があるわけではない。でも、当時の社会の生活の匂いが少しですればと思っている。


政治的な面は、できるだけ排除しようと思った。10月7日の建国記念日の写真も、その中で市民はどうしているのだろうかということに焦点を当てたつもりだ。


投稿写真には、ドイツ人にもいつの写真かわかるように、簡単にドイツ語も入れておいた。こうして7カ月間、当時の写真を投稿してみて気づいたことが一つある。


それは、民主化を求めるデモや、壁崩壊後に西ベルリンで撮った写真には、「いいね」が極端に減ったことだ。


たとえば左の写真は、西ベルリンのクーダム通りで撮った写真。ぼくは、東ドイツの若者がとてもいい表情をしていると思う。ぼくの好きな写真の一つだ。


でも、これにも「いいね」は一つもなかった。


第三者としてぼくが見る目と、当事者である東ドイツ市民の感じることは違うといってしまえば、それまで。


ここでは、それをいろいろ解釈するのは止めようと思う。


この後は、来年2020年が終戦75年になるので、30年ほど前から撮ってきたナチス強制収容所跡の写真をインスタグラムに投稿する。


(2019年12月10日)


インスタグラムへのリンク:
東ドイツの人々(instagram)
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