2018年7月掲載 − 小さな革命 − J・Oのベルリン便り
アッハソー、1997年6月

今月は久しぶりに、トピックスを並べてみたい。


• 日本でも報道されたと思われるが、5月末にベルリン・ドイツ・オペラのオーケストラ楽団員が、酔った勢いでたいへんな騒ぎを引き起こしてしまった。ベルリン・ドイツ・オペラはイスラエルのテルアビブで2週間の客演公演を行っていたのだが、コントラバス奏者であるドイツ人楽団員が仲間と一緒に宿舎のホテルのバーで一杯引っかけた後、支払いの請求書に『アドルフ・ヒトラー』とサイン。驚いたバーテンが説明を求めると、「アドルフ・ヒトラーが支払ってやろうというのだ」と応じたという。奏者はすぐに「冗談だよ」と訂正したらしいが、事は『冗談』では済まなくなってしまった。奏者は翌日すぐにベルリンに還され、即刻解雇された。

この事件、これで決着したように見えるが、あまり報道されていないが、コントラバス奏者をなぜ辞めさせたのかと、抗議の手紙がたくさんドイツ・オペラに寄せられているという。こっちのほうがもっと重大だと思うのだが。


• ベルリンで静かな人気を呼んでいる深夜放送がある。クラシック音楽を流しながら、カメラを固定したまま熱帯魚の水槽だけを放映する番組である。熱帯魚が泳いでいるのを見ていると、これが以外と気持ちが落ち着くから不思議だ。

Sバーン(都市高速鉄道、東京でいえば京浜東北線や山手線に相当)や地下鉄の運転室から見える走行中の景色だけを放映する番組もある。こちらは、電車のガタン、ゴトンという走行音か、駅員のアナウンスしか聞こえてこない。

日本に住んでいるみなさんにとっては、ちょっと暗ーいかもしれない。


• 今日27日は、七人の眠り聖人の祝日。この日の天気がこれから7週間、つまり今年の夏の天気を左右するといわれる。この日の天気が悪いと、夏は期待できない。ここのところ、ドイツは天気がよくなく、最高気温も20度前後。今日もベルリンは小雨がパラつき、どんより曇っている。低気圧『ウラ』が大陸を覆っているからだ。

小生の偏見かもしれないが、こちらでは『質の悪い』低気圧に女性の名前を付けている。どちらかというと、あまり聞かない名前が多く、日本でいう昔の『うめ』とか『とら』、『かめ』という名前をイメージしてしまう。どうせなら、『エリーカ』とか『クリスティーネ』などもっと明るく、かわいい名前を付けたほうが天気がよくなるのではないかと思うのだが、いかがなものか。


• ドイツでもこの25日に臓器移植法が成立した。ドイツでは日本と違ってすでに脳死=死が普通となっており、薬局で意思表示カードを簡単に取得できるようになっている。ただ、今回の法律は意思表示カードがなくても、家族の同意があれば、臓器を摘出できる道を開いている。小生は以前からカードを取得するつもりでいるが、死を法律で定義してしまうことには何かわだかまりを感じている。(J・O)

(1997年6月1日)
前の項へ←←      →→次の項へ        →記事一覧
このページのトップへ