2018年7月掲載 − 小さな革命 − J・Oのベルリン便り
アッハソー、1997年3月

ドイツで外出しているときに以外と面倒なのは、公衆便所が少ないということだ。日本であれば、国電であろうが、地下鉄であろうが、どの駅にもトイレがある。しかしベルリンでは、ほとんどの駅にトイレがない。公衆便所がある駅は、長距離列車が停車する駅だけではないか。トイレがあったとしても例のToilettenfrau(「トイレを管理する女性」ということ。これを「くそババァ」と訳した人もある) - 男性の場合もあるのだが、Toilettenherr(Herrは「男性」。こっちであれば「くそジジィ」か)ということばは聞かない - がいたりして、使用料を請求されるどころか、『盗み見』されるのではないかと、安心して用も足せない。


こちらでは、朝顔があっても間仕切りの板がなく、見られてしまう危険が非常に大きいのだ。小生のように小さければ、洋服の陰に隠れてしまうことも考えられるが、大きなドイツ人の場合は、並んでいても、見たくないものまで目に入ってしまうことがある。大したものだ。人によっては、一番端の朝顔にからだを斜めに構えて大事なものを隠すように肩をすくめていたり、小便器が空いていても、いきなり大きいほうのドアをバタンと閉めて、気持ちよさそうにジャー、ジャー、音を立て始めるものもいる。座ってやれば、音は立たないと思うのだが。


不思議なのは、デパートや大型スーパーにもトイレが少ないということ。スーパーの場合はほとんど期待できない。デパートの場合はあることにはあるが、各階にないことが多く、あってもトイレを探すのに一苦労する。


それでは、困ったときにどうするのか。木陰にでも隠れて済ませてしまえば簡単だが、実際そうやって済ませてしまう女性も以外といるのだが、繁華街などの路上ではそうもいくまい。まず探すのがホテル。ホテルがなければ、マクドナルドなどのファーストフード店だ。ただ、ファーストフードの場合、例の『くそババァ』か『くそジジィ』が待っていると思ってまちがいない。


次が、カフェやレストランなどだ。小生の行きつけの飲み屋では、用を足すだけの『客』を結構見かける。おもしろいのは、誰もトイレはどこかと尋ねないこと。店内を探りながら、自力でトイレに辿着く。用を済ませた後の態度には人それぞれの性格が表われていて、これもまたおもしろい。気まずそうに目をそらせて出ていくもの、正々堂々と正当な『客』といわんばかりに澄まして出ていくものなど、など。店のマスターはまたかと黙認しているから、心配しないで利用すればいい。


路上に公衆便所がまったくないということでもない。ツォー駅の近くや、アレックス(アレクサンダー広場)などには大きな公衆便所がある。しかし、こういう所は少し危ないので要注意だ。麻薬の取り引きが行われていたりする。


最近、一人用の自動公衆便所が増え出してきた。50ペニヒのコインを入れると、エレベーターのようにドアが開く。中に入って閉のボタンを押すと、ドアが自動的に閉まる仕組になっている。出るときは開ボタンを押せばいい。ただ、問題は閉ボタンがドアのロック機能を兼ねていて、すべて電気で機能しているということだ。もし、用足し中に電気系統が壊れてドアが開いたりしたら、・・・。ドイツの技術を信じるか、信じないかはみなさんの判断におまかせしよう。(J・O)


(1997年3月1日)
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