2018年7月掲載 − 小さな革命 − J・Oのベルリン便り
アッハソー、2003年4月

2月15日は、時折小雪の散らつく寒い日だった。にもかかわらず、ベルリンでは米英両国のイラク攻撃に反対するデモに、約50万人もの人々が参加した。主催者側は20万人程度の参加を見込んでいただけに、予想を遥かに上回る結果となった。ドイツでの2月15日反戦デモは、平和団体と人権擁護団体、環境団体、労働団体青年部、Attac、政党関連団体(青年部など)がデモの支援主体となって実施された。


デモを前にある企業家が、新聞紙上に公開文書を載せ、教会と労組、経営者団体にデモへの支援を呼びかけた。それに対して、教会と労組がデモへの支援を約束したことが、反戦デモとしてはこれまでにない最大規模となった要因と見られている。デモ当日、ドイツ各地からデモ参加者を運んできた観光バスがデモ会場近くの大通りに所狭しと並んでいたが、その光景は壮大そのものであった。


イラク戦争に反対するデモはベルリンだけではなく、ドイツ各地で展開されている。ライプツィヒでは旧東独の民主化のきっかけとなった月曜デモが復活。毎週月曜日の夕方、数万人が反戦デモに参加している。このライプツィヒのデモは各地に拡がり、現在全国80箇所以上で月曜反戦デモが続けられている。その他、毎週金曜日に反戦デモを行っている地区もあり、毎日とはいかないまでも、それに近い状態で、ドイツのどこかで反戦デモが行われている。


今回の反戦デモでは、NATO軍のユーゴ爆撃やNATO軍コソボ派兵に反対するデモなどに比べると、一般市民の参加が特に目立っている。さらに、子どもから高齢者までと年齢層も広い。そのため、反戦デモには自然と市民が集まるという状態が続いている。


たとえば、ベルリンの牧師さんのイニシアチブで実現した3月15日夜のデモには、一般市民約10万人がろうそくや懐中電灯を持って参加。ベルリンの東西に35キロメートルの灯明行列ができた。学校の授業でイラク戦争をテーマに取り上げているクラスもあり、ベルリンではイラク侵攻が開始された3月20日の11時に小中高生による反戦デモが行われ、小中高生約5万人が参加した。


ドイツでこれだけたくさんの一般市民を反戦デモに駆り立てている要因は何か。


欧州大陸は過去に何度となく悲惨な戦争を経験しており、もう戦争はこりごりという思いがあるからだ、とする分析もある。また、戦争で一番犠牲になるのは一般市民と子どもたちだとか、今回は親としてわが子に戦争をしなければならない理由を説明できない、ブッシュ大統領のように一般市民を標的とした暴力をテロと定義すれば、一体誰が最大のテロリストだ、ブッシュ政権の一国主義的なやり方は容認できない、戦争による暴力はテロを拡大させるだけだ、などという声がたくさん聞こえる。


イラク戦争の先が見えるに従い、米英政権の判断は間違っていなかったのではないか、とする声も聞かれるようになった。しかし、イラクに平和が訪れる日はまだまだ遠い。最新のアンケート調査では、ドイツ人の約70%は、米軍が今後さらにシリアやイランを攻撃するのではないか、と心配している。(J・O)


(2003年4月1日)
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