2018年7月掲載 − 小さな革命 − J・Oのベルリン便り
アッハソー、2006年4月

先日スーパーマーケットにいった時、“Enokitake”、“Shimeji”と書かれた商品があるので、まさかと思ったが、本物の榎茸としめじであった。そういえば、松茸も出ていたことがあった。ただよく見ると中国産。Shimejiを買って食べてみたところ、香りはあまりないが確かにしめじである。しかしパッキングには、「日本」というこどばは一言もない。バター炒めにするなど、西洋風の調理法が記載されているにすぎなかった。これでは、Shimejiは中国のものと思われても仕方がない。


この前新聞に、“Shiatsu”について紹介している記事があったが、指圧は中国古来の治療法なのだそうだ。指圧師を取材して書かれた記事なので、その指圧師がそう思っているのであろう。小生のドイツ人の指圧の先生にこの話をしたら、指圧の根本の根本を辿ると中国といえるかもしれないが、指圧はどう見ても日本のものだと憤慨していた。


最近は、カフェでも緑茶を置いているところが増えてきた。“Sencha”、“Bancha”などという緑茶が出ているのだが、これもほとんどは中国製。緑茶は数年前に日本や中国、インドなどから輸入され出したが、欧州の残留農薬規制が厳しくて、当初日本の緑茶が結構その規制にひっかかったものだから、日本の製造元が欧州への輸出に意欲を失ってしまった。それで、Sencha、Banchaはほとんどが中国のものになっている。ただ日本人からすると、味は煎茶でも番茶でもない。一度試しにお茶の専門店でSenchaやBanchaを買った時に、これは色や香りからして煎茶や番茶ではないといってもまったく埒が明かなかった。売り子さん自身、それが日本語の呼び方であることさえ知らないのだから。


“Kaki”も数年前からスーパーマーケットに出ているが、こちらはイスラエル産。これは、確かに日本の柿の味だ。しかしKakiが日本語だというのは、これまで聞いたところドイツ人では誰もしらなかった。


数日前に、テレビの料理番組でドイツ人のSushiコックがのり巻に辛いチリソースを入れて、これがまたおいしいのだと自慢げであったのには仰天した。スーパーマーケットには冷凍のにぎり寿司が売っているが、自然解凍して食べたいとは思わない。最近は午前中にスーパーマーケットにいくと、パック入りの盛り合わせSushiが並べてある。“新鮮”と強調してあるので、試しに買って食べてみたが、すし飯には酢が入っておらず、餅かと思うくらいに硬く握ってあった。ドイツはどこもかしこもSushiブームで、Sushiは日本レストランよりも日本人コックのいないSushiバーなどで食べられている場合が多い。カフェにSushiコーナーを設けているところさえもある。にぎっているのは、インドネシア人やベトナム人、中国人、機械など。そうなると、Sushiが元々は日本食だと思って食べている人はあまりいないのではないかと思う。


先程憤慨していたドイツ人の指圧の先生によると、一般のドイツ人にとってはアジアのものだとわかればそれでいいのだろうという。中国であろうが、日本であろうが、大きな違いはないのだと。確かに日本でも、たとえばフランスのものとドイツのものを区別できる人はあまりいないのではないだろうか。(J・O)


(2006年4月1日)
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