2021年6月14日掲載 − ぶらぼー!
バッハの受難

バロック音楽ファンとして今、ちょっと納得できないことがある。そのため今回は、少し感情的に書いておきたい。


日本の音楽の教科書には、作曲家バッハは「音楽の父」と書かれている。バッハは何といっても、バロック音楽の大巨匠だ。


今、パンデミック下における東京オリンピック開催を巡り、同じ「バッハ」という名前の人物が世界で権力を握り、君臨している。それだけに、作曲家のバッハが「バッハといえば、作曲家のバッハだが」などと、別人のバッハを紹介するイントロに使われたりしている。


問題の別人のバッハは、国際オリンピック委員会会長。パンデミック下で、強行にオリンピックを開催させようとしている。「ぼったくり男爵」などと批判されている。五輪憲章を無視し、スポーツを商業目的に利用して莫大な資金力を盾に権力を握る。五輪開催に固執するのは、その資金力を護るためとしか考えられない。


しかし、作曲家のバッハは、バッハIOC会長とは何も関係ない。同じドイツ人だが、血縁はない。


それを同じ「バッハ」だからと、作曲家バッハの名前からバッハIOC会長のことをイメージするのは、ちょっとおかしい。二人には何も関係もないだから、作曲家バッハのことは触れないでもらいたい。


作曲家バッハは作曲家バッハ。バッハIOC会長はIOC会長のバッハだ。


作曲家バッハが、バッハIOC会長よりも先に生まれてすごい作品を残した。後世別人のバッハがIOC会長として悪名高くなったばかりに、後世別人の先駆者バッハとして作曲家バッハが取り上げられる。


これは、まったくおかしい。フェアではない。先に生まれた作曲家バッハの受難といわなければならない。バッハIOC会長に関していう時は、作曲家バッハのことには一切触れてほしくない。


作曲家バッハは、〈マタイ受難曲〉と〈ヨハネ受難曲〉と、すばらしい受難曲を残した。でもその時、後世にこんな受難を受けるとは、思ってはいなかったはずだ。


(2021年6月14日)
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関連サイト:
〈マタイ受難曲〉の原譜
〈ヨハネ受難曲〉の原譜
国際オリンピック委員会(英語)
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