2021年3月29日掲載 − ぶらぼー!
ブラームスとバロック音楽

前回、ベートーヴェンとバロック音楽について書いた。ベートーヴェンの後のドイツ音楽というと、ヨハネス・ブラームスを思い浮かべる人も多いと思う。


ブラームスといえば、ロマン派音楽の作曲家。でもバロック音楽、その中でも特にJ.S.バッハに傾倒していたところがある。


ベートーヴェンとバロック音楽について書いたのだから、続いてブラームスとバロック音楽についても書いておこうと思う。


今コロナ禍で、コンサートやオペラは休演中。ありがたいことにその分、聴衆なしで行われたコンサートやオペラの公演がテレビで中継されることも多い。過去に収録された公演が、再放送されることもある。


今回ちょうど、指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットの93歳(!)の誕生日である2020年7月11日に、バムベルクで演奏されたブラームスの交響曲第4番がテレビで放映された。指揮はブロムシュテット自らが行い、バムベルク交響楽団が演奏した。


今、熟成した高齢指揮者として注目度の高いブロムシュテット。93歳とは思えない機敏な指揮と、明晰な音楽造りはまだまだ健在。熟したブロムシュテットの音楽を満喫できるのは、この上なくありがたい。まだまだすばらいしい音楽を続けてもらいたいと思う。


さて、ブラームスの交響曲第4番だ。その第4楽章こそがバロック音楽が基盤になっている。J.B.バッハのカンタータ第150番<主よ、われ汝を仰ぎ望む(Nach dir, Herr, verlangert mich)>の終曲のバステーマ(主題)をいくつもに変奏して組みわせた変奏曲のようになっている。


ここは通常、シャコンヌ形式だといわれる。ただブロムシュテットはこれを、「パッサカリア」だと評した。


シャコンヌとパッサカリアの違いは何か。


シャコンヌは、和声進行が変奏の基盤となる。それに対してパッサカリアは、低音旋律に基づいて変奏される。第4楽章には通常、30の変奏があるといわれる。それを、ブロムシュテットは「(低音のテーマについて)35の変奏がある」ともいった。


ブロムシュテットは演奏で、低音の変奏を強調していた。それからすると、第4楽章はシャコンヌではなく、パッサカリアだといったのはブロムシュテット独自の解釈ではないかとも思う。


ブロムシュテットの第4楽章を聞くと、その深さが低音からきているのがよくわかる。


ブラームスの交響曲第4番は、「もう終わったと思われていたバロック音楽を新しく発見し、(ブラームスは)新しい音楽を創造した」とも、ブロムシュテットはいった。


ベートーヴェンについてインタビューした指揮者アルブレヒト同様、ブロムシュテットは「スコアを読み直す毎に新しい発見がある」ともいう。


ぼくたちは、高齢なブロムシュテットの新しい発見をまだまだ体験できる。それはは、とてもありがたいことだ。ぼくたちは幸せ者だ。


(2021年3月29日)
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