確かに電気料金だけで見ると、再生可能エネルギーで発電された電気は高くなります。ただそれは、固定価格買取制度(FIT)によって発生するコストをどう捉えるかだと思います。
電気料金は、発電に直接関わるコストだけで構成されているわけではありません。電気料金には、税金やその他税金以外に公的に課せられる負担金(公課)も含まれています。たとえば、最終処分などバックエンド費用のための積立金や、電源開発地を補助するための電源三法交付金のための資金負担などです。
さらに、電気料金に加算されていないコストもあります。これは、エネルギー供給において発生する社会コストといわれるものです。たとえば、環境汚染や気候変動、事故などによって発生するコストです。ただ、このコストは簡単には試算できません。
電気を供給するために必要なインフラ整備や研究開発が公的に補助された場合も、コストとしては換算されません。
そうなると、電気が安いか、高いかは、電気料金だけでは比較できません。
日本では、原子力発電の外部コストがかなり低く見積もられています。それは、事故が起こった時のコストや最終処分、廃炉(バックエンド)に必要なコストが十分に把握されていないからです。実際に事故が起こった時や、最終処分や廃炉をはじめると、積み立てていた資金ではとても足りなくて、将来莫大なコストが発生することが考えられます。
こうして見ると、発電に係わるコストというのはそう簡単にはわかりません。
それに対して、再生可能エネルギーで発電された電気では、FIT制度によって発生するコストがはっきりします。コストは電気料金に加算され、内部コスト化されます。それが、再生可能エネルギーは高いと思ってしまう原因です。
でもFIT制度によって発生するコストは、将来のエネルギー供給のために必要な補助です。その意味を考えると、むしろ社会コストとして取り扱うべきものだと思います。
そう考えると、再生可能エネルギーは高いとはいえません。
(2018年12月05日)
前の項へ←← →→次の項へ →一覧へ
|