地元でエネルギーを「生産」できるようになるといっても、そのためのエネルギー源は十分にあるのか、と疑問に思う人もいると思います。
でも、エネルギー源は十分にあります。ドイツではすでに、地元で必要な電気の3倍、4倍も発電している自治体があります。
これまで、石炭や石油などの化石燃料をエネルギー源としてきたので、地元の生活の中にあるエネルギーの可能性について気づかなかったともいえます。
太陽エネルギーや風力は、いうまでもありません。
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庭などで排出される「緑のゴミ」回収コンテナ。住民が持ち込むために用意されている |
地元に森林があれば、落ち葉や森林を保全するために伐採した枝などがあります。森林がなくても、一般家庭の庭からも落ち葉や枝、枯れた植物、雑草などが出ます。こうした「緑のゴミ」は、バイオマスとしてエネルギー源になります。
地元に林業や製材業があれば、木屑、残材、おが粉、かんな屑などが出ます。農業からは、わらや植物の葉や茎が排出されます。酒やワインなどアルコール飲料を製造しているところには、その残さが残っています。
一般家庭からは、生ゴミがでます。食品を調理した屑や食べ残しなどです。ホテルやレストラン、病院や学校、企業の食堂などからも、同じように毎日たくさんの残飯や生ゴミが排出されます。
これらは、貴重なエネルギー源となる生物資源です。
また、料理に使った古い油や脂肪油などもエネルギー源として使えます。
動物も、貴重なエネルギー源となります。屠殺場からは骨や内臓などの残さがでます。漁業の町でも、魚の骨や残さがあります。酪農地域には、家畜の糞尿があります。
下水処理場には、ヒトの糞が沈殿しています。それが発酵すると、メタンガスが発生します。それを回収すれば、天然ガスの代わりに利用できます。
これらはすべて、これまで捨てられてきました。でもそれはゴミではなく、「再生可能な」貴重な資源だったのです。
こうして見ると、自分の生活するところにたくさんのエネルギー源があることがわかります。エネルギー源は、自分の目の前にあるといっても過言ではありません。
これまで「循環経済」の名の下で、資源ゴミを回収してリサイクルするシステムが確立されてきました、今度はそれを、エネルギーの分野にも拡大します。
日本ではこれら身の回りにある可能性を追求しないで、パーム油などの生物資源を輸入してバイオマス発電が行なわれています。
これも、邪道だといわなければなりません。
(2019年7月24日)
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