前回、エネルギー源は身の回りにあると書きました。その中でも、これまで見逃してきたのは、庭などで排出される「緑のゴミ」や残飯、生ゴミなどです。
これらは、植物から得られる生物資源です。その中には、光合成によって光エネルギーから転換された化学エネルギーが蓄積されています。
緑のゴミの中には、木の枝などが入っています。その枝は、分別して破砕すれば、ボイラーの燃料として使うことができます。それによって得られる熱は、暖房や給湯の熱として利用します。
たとえば、学校や病院など公共施設の近くにこの種のボイラー設備を設置し、その熱を地中に敷設した暖房熱配管で供給します。
草や花などの茎は、そのまま燃やしてもすぐに消えてしまいます。ですから、燃料には適しません。こららの緑のゴミは、コンポスト化して肥料として使えば、化学肥料を製造するのに使うエネルギーは必要なくなります。
残飯や生ゴミも、コンポスト化して肥料にすることができます。
でも、残飯や生ゴミ、草や茎などの緑のゴミは、大きなタンクに入れて発酵させれば、メタンガスを発生させます。そのメタンガスを回収します。これが、「バイオガス」といわれるものです。
バイオガスは、燃料電池の燃料にすれば電気と熱を得ることができます。さらに、既存の天然ガス網に入れて、家庭での料理などに使うこともできます。
さらに、バイオガス中のメタンガス濃度を上げれば、ガス自動車の燃料として使うことができます。
バイオガスを発生させるタンクには、発酵後粕が残っています。この粕は、乾燥させるなどして農業用の肥料として使うことができます。
ただここで大切なのは、緑のゴミや生ゴミの中に、フラスチックや鉄、アルミ、有害物質などの不純物が含まれていてはいけないということです。不純物が含まれていると、回収した後に分別しなければなりません。
それを避けるため、消費者がしっかりと分別しておく必要があります。そうしないと、後で分別するために無駄なコストが発生します。
こうして見ると、これまで捨てていたものが貴重な資源だったことがわかります。この生物資源はまた生えてきますので、いつでも手に入ります。
これまで、石炭や灯油を買って暖房していました。肥料も買っていました。でも、身の回りある生物資源を得るのに、お金は必要ありません。これまで捨てていた「ゴミ」でした。またこのゴミは、生活の中から出るものなので、いつでも供給されます。
これが、「再生可能」ということです。
(2019年7月31日)
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