前回、ドイツの太陽光発電では、電気を買い取る固定価格の保証される20年がまもなく期限切れとなることから、解体される発電施設が急増すると書きました。その背景も説明しました(「ソーラーパネルのリサイクルは?」参照)。
状況は、風力発電でも同じです。ただ風力発電の場合、1990年代はじめから普及しているので、太陽光発電に比べると、風力発電でのほうがこれまで問題の20年を超えた発電施設が多数出ていました。
風力発電では当初、稼働20年になると、解体してそれを東欧諸国などに転売していました。さらに風力発電では、古い発電施設をリパワリングします。
リパワリングとは、古い発電施設をリニューアルして出力アップさせることです。リパワリングすれば、新たに固定価格買い取り制度を適用することが認められます。
風力発電では、リパワリングが普及しています。今後太陽光発電でも、リパワリングが広がると予想されます。
リパワリングしても、いずれ発電施設を解体しなければなりません。解体とリサイクルは、風力発電のほうが太陽光発電よりもたいへんで、コストがかかります。
本サイトでも、風力発電施設を解体するための資金の問題(「風車を解体する資金はどこに?」参照)と、洋上風力発電施設の解体の問題(「洋上風力発電の課題(7):発電施設の寿命」参照)について、すでに指摘してきました。
風力発電では解体により資金がかかるので、そのための資金を積み立てておかなければなりません。ぼくは、それを法的に義務付けるべきだと思っています。
風力発電では、解体された後のリサイクルも簡単ではありません。特に発電施設上部にあるブレード(羽)や発電機の入ったナセルなどには、軽くするために繊維強化複合材が使われています。タワー(柱の部分)でも鋼板ではなく、繊維強化コンクリートが使われるようになっています。
その結果、リサイクルが益々難しく、コスト高になっています。
ドイツには、繊維強化複合材をリサイクルできる設備がまだ1カ所しかありません。それでは、これから古い風力発電施設から排出される廃材をリサイクルできるだけの容量がありません。
風力発電では早急にリサイクルを考えた対策を講じないと、風力発電に対するアクセプタンスが益々しぼんでいくことが心配されます。
(2020年5月20日)
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