2020年8月26日掲載 − 再エネいろは
風車は森林に設置していいのか?
再生可能エネルギーQ&A

ドイツでは日本と違い、平地が国土の大半を占めています。特に国土の上半分以上の北部では、ほとんどが平地です。風力発電に適するとされます。


それに対し、ドイツの南東部にはアルプス山脈が横たわり、観光名所となっています。そのため景観公害の問題から、ドイツ南部ではほとんど風力発電が行われていません。風が少ないので、風力発電にはあまり適さないともされます。


ただドイツ南西部のラインラント・プファルツ州にいくと、風力発電が盛んです。起伏のゆるやなか低い山が連なる地域に、風車がたくさん並んでいます。ぼくは、森林の中にこんなにたくさんの風車が並んでいるのをはじめて見ました。


環境基準のハードルの高いドイツ。森林に風車を設置するのは、そう簡単なことではないと思います。その点の難しさについて、ラインラント・プファルツ州ライン・フンスリュック郡において、再エネ化を実現したベルトラム・フレック前郡長に聞いてみました。


フレックさんは、地域で風力発電を促進できた一つの大きな利点が、森林のほとんどが自治体所有だったことを挙げました。風車を建てるため、自治体が土地を賃貸し、その賃貸料を得ます。その結果自治体財政が安定し、地元住民の暮らしが改善されます。それが、地元住民を説得する上で効果的だったといいます。


もちろん、植物や野鳥など貴重な品種の生息する地区に風車を設置することはできません。その点、ドイツの法規はとても厳しいです。


ドイツの各自治体には、土地利用計画というのがあります。計画は、その土地を何の目的に利用すべきかを規定しています。森林を風力発電に利用するためには、その変更手続きもしなければなりません。


その手続きは非常に複雑で、時間がかかります。ただ土地の所有者が自治体だったことから、その手続きが比較的スムーズに進んだと見られます。


フレックさんによると、もう一つ大切な点は新たな植林です。森林を風力発電のために伐採すると、それと同じ面積分をどこか代替地で新たに植林しなければなりません。それについても、ドイツの法規は厳しく規定しています。


さらに気になるのは、景観公害の問題です。ドイツ各地では今、景観公害から風力発電に反対する住民が増えています。


その点についてフレックさんは、風力発電によって地元に得られる利点と利益をはっきりさせることが重要だといいます。さらに、住民がこれまでなかった新しい技術に対して抵抗しているのだとも見ます。これまでも、新しい物、大きな物が登場すると、それに対する住民の抵抗は付き物でした。


森林に風車を設置するのは、自然の一部を破壊することになります。でも森林と風力発電が共存できるようにするほか、住民の合意と理解を得ることも大切です。


(2020年8月26日)

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