今後、電気自動車の普及と重工業のグリーン化で電力需要が大幅に増大することが予想されます。それについては、前回の記事でも書きました(再エネだけで電力需要を満たせるのか?)。
その電力需要は、再生可能エネルギーで発電した電気で満たしていかなければグリーン化したことにはなりません。その電力需要を再エネで満たせるかどうかについても、前回検討しました。
でも、地産地消を基盤にする再エネです。たとえ増大した電力需要を満たせたとして、再エネが基盤とする地産地消構造を維持できるのかどうかも、気になります。
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アッセルンの風力発電パークには、風車の博物館のようにいろいろな風車がある |
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再エネはもちろん、地産地消を基盤にしています。ただ実際には、風力発電施設のたくさんあるところでは、地元で必要な量以上の電気が発電されています。
地元で消費する以上の電気は、他の地域に送電して使うしかありません。それでも、地産地消です。余った電気は、その近くで消費すればいいと思います。
ただ地産地消といっても、電気は送電網に入ってしまうとどこで発電されたものなのか区別できません。要は、地元で必要な量に相当する電力量が発電されておれば、地産地消だと見なします。
また、国内全体で必要な電気が、国内の再エネ発電施設で発電された年間電力量と同じか、それを下回っておれば、国内の電力需要を満たしたことにします。
すでに述べたように、電気は送電網に給電すると、どこで発電されたものなのか区別できません。どこで発電されようが、どこで消費されようが、電気は電気です。ですから、年間消費量と年間発電量から、需要を満たしたか、満たさなかったかを判断します。
ただ、重工業のグリーン化で水素製造に必要な電気が、国内において再エネで発電するだけでは足りないことも十分に考えられます。
ドイツはその場合に備え、北アフリカにおいて再エネで発電された電気で水素を製造し、それを輸入することを目論んでいます。すでにモロッコなどと、そのための契約を結んだとされています。
その場合、確かに発電されたところで水素を製造します。でも水素を輸入するので、それで再エネの基本構造である地産地消が完全に維持されたかというと、どうも疑問に思います。
できれば、水素もできるだけ国内で製造したいところです。でもそれでは水素の需要を満たすことができない場合は、水素を輸入することもよしとしなければなりません。
(2020年10月14日)
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