電力会社や再エネ関連企業の中には、再エネショールームのようなものを設けて、再エネのことをより知ってもらおうとしているところがあります。
再エネ利用集合住宅や、大きな再エネ発電施設では、ガイド付きで見学を受け入れているところもあります。
再エネ発電設備を建設する再エネゼネコンのJuwi社では、本社社屋と敷地そのものが将来の再エネ社会を想像させる造りになっていました。
これまでドイツで見た再エネ教育施設の中では、風車製造メーカー、エナーコン(Enercon)社のエネルギー教育体験センターが、再エネ教育を目的とした最大の教育施設だと思います。ドイツ北西部北海沿岸近くのアウリヒという町にあります。
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写真中央の池に囲まれたモデルが、エナーコン社社屋とエネルギー教育体験センター |
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ここでは、風によって風力エネルギーを実際に体験できる |
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モニターがいろんなところにあり、テーマ毎に情報が提供され、エネルギーについて学ぶことができる |
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光によってレーシングカーを動かす (写真はいずれもNPO法人アースウォーカーズ提供) |
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本社社屋と教育体験センターが一体となった造りです。大人もこどももエネルギーと再生可能エネルギーについて、体験しながら学ぶことができるように構想されています。
教育体験エリアに入る前に、スティックが渡されます。それをモニターのあるところに差し込んでおくと、モニターの質問などにうまく答えられたかどうか”成績”が記録され、最後に総合成績が評価されます。
エネルギーとは何か。エネルギーをどう利用するのか。そうしたことを実際に自分で体験して学びます。それとともに、将来、ぼくたちが再エネに依存しなければならないこともわかります。
ぼくは2018年夏、ドイツの再エネ状況を学びにきた福島県高校生と一緒に、同センターにいきました。ドイツ語のわからない高校生には、ちょっと難しかったと思います。でもそれになりに、楽しく学んでくれたのではないかなと思います。
ただ、こうした施設ばかりではないのも事実。
再エネ・テクノロジーセンターとしてエネルギー研究開発とスタートアップの育成を目的とするベルリンのオイレフ(EUREF)キャンパスで、屋根などに設置できる小型風車の写真を撮りたいと申請したことがあります。そうしたら、何と500ユーロ(6万円余り)請求されました。もちろん、断りました。
この施設は公的補助で運営され、ある意味で公的な機関でもあります。そういうところから、ジャーナリストとして写真撮影するのにお金を支払えといわれたのは、その時がはじめてでした。
ベルリンで、住民協同組合によって設置された最新の集合住宅を福島県高校生と見学したことがあります。その時、再エネの利用について設計した再エネ専門会社、自然電力(Naturstrom)社から、1時間のガイド料として1000ユーロ(13万円弱)請求されたこともあります。教育目的に対して、これほど高額な請求をしてくるのにはちょっと驚かされました。半額に値下げしてきましたが、断りました。
ドイツでは、再エネがブームになっています。その意味で、視察したいとの依頼がたくさんあることも想像できます。でも、営利を目的としないことに対する請求は不適切だと思います。
こうした体験からすると、再エネ業界の一部においては望ましくない方法で発展しているともいわなければなりません。
(2020年12月02日)
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