2020年12月09日掲載 − 再エネいろは
再エネは二酸化炭素排出削減に役立つのか?
再生可能エネルギーQ&A

再生可能エネルギーを利用した太陽光発電や風力発電では、発電しても二酸化炭素は排出されません。その意味で、再エネは二酸化炭素の排出削減に貢献しています。


ところが、再エネによって二酸化炭素の排出が削減されても、実際に二酸化炭素を排出する産業や交通などの分野で二酸化炭素の排出が削減されないと、その意味がありません。


でも現実には、再エネの利用によって二酸化炭素の排出が削減されたことで、その分、二酸化炭素を排出する分野でより多くの二酸化炭素を排出できるようになったといわなればなりません。


どうしてそうなるのか?


再エネの普及と二酸化炭素の排出削減を目的とする施策がリンクせずに、別々に行われるからです。


各国は二酸化炭素の排出を削減するため、それぞれ施策を持っています。欧州連合(EU)では、排出権取引という制度が導入されています。


これは、各加盟国がそれぞれ二酸化炭素の排出削減目標を設定して、それに応じて毎年排出できる排出枠を設定します。その規定された排出枠を超えると、超えた分に対して二酸化炭素の排出権証書を買って相殺しなければなりません。


排出権証書は、二酸化炭素の単価に応じて価格が決まります。証書は、二酸化炭素の排出が配分された排出枠よりも下回った企業や、途上国などでの再エネプロジェクトなどによって発行されます。


要は、二酸化炭素に値段をつけて、二酸化炭素をより多く排出した場合、ある意味で罰金を支払わせようとするものです。それによって、二酸化炭素の排出を削減するインセンティブを持たせる制度です。


ところが、再エネが普及しても、いやむしろ、再エネが普及するから二酸化炭素の価格が上がりません。再エネの普及によって二酸化炭素が排出されず、年間の二酸化炭素の排出枠に余裕ができるからです。その結果、二酸化炭素の排出を規制される各企業にとり、がんがん二酸化炭素を排出しても負担が増えません。


二酸化炭素の価格が安いからです。それなら、二酸化炭素の排出を削減するために設備投資などして努力するよりも、排出権証書を買ったほうが安く上がる事態になりました。


その結果、再エネの普及効果で国内の排出枠が守られても、産業界での二酸化炭素の排出は削減されないというねじれ構造が発生してしまいました。再エネが産業界での二酸化炭素の排出増大に貢献したといっても過言ではありません。


これは結局、再エネの普及と二酸化炭素の排出削減がリンクされていなかったから起こりしまた。


そのためドイツは、来年2021年から、二酸化炭素の価格を法的に規定するほか、排出権取引を交通など民生部門にも拡大することになりました。


このドイツの失策は、再エネの普及だけを促進していてもダメだということです。二酸化炭素の排出を削減するには、たとえば炭素税などによって、二酸化炭素を割高にして金銭負担を課さなければなりません。


こうして、再エネの普及と二酸化炭素の排出削減をリンクさせます。


(2020年12月09日)

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