2021年7月14日掲載 − 再エネいろは
統合費用とは何か?
再生可能エネルギーQ&A

先日、今注目されている小型原子炉の問題について書いた時、「統合費用」ということばを使いました(小型原子炉を分散型に応用する矛盾 - 小型原子炉は救世主か(9)」)。統合費用は、再生可能エネルギーによる発電においていろいろ議論する的になっています。そのため、統合費用とは何なのか、ここでも少し詳しく説明しておきたいと思います。


発電された電力を供給する電力システムにおいては、既存の発電所から送電される電力はそのまま送電できます。でも新しい発電施設の場合、発電施設ができてもそれを既存の電力システムに接続しないと送電できません。そのための接続費用は通常、新しい発電施設の発電事業者が負担します。


でも、新しい発電施設が増えて送電量が多くなるので、送電網の容量を引き上げなれば、電力を安定供給ができません。送電網を安定させるには、需要と供給のバランスをうまく保つ必要があるからです。


送電網は、地域間で電力を送電するものです。ある地域で新しい発電施設が増加すると、地域間の需要と供給のバランスが崩れ、安定供給ができなくなる心配があります。それを避けるには、送電容量を増強しなければなりません。その整備のために、費用が発生します。


また再エネでは、発電電力量に変動が大きいので、余剰電力を貯蔵します。あるいは、発電施設を送電網から切り離して出力を抑制します。さらに、既存の発電所が電力を送電しようとしても、電力を送電できない場合が出てくることも考えられます。それによって、設備稼働率が低下してコストが発生します。


こうして、既存の電力システムを安定して運転できるようにするために、電力システムにおいて(整備などの)サービスが増え、損失が発生します。それを埋め合わせるコストを統合費用といいます。


統合費用といっても、それが純粋に再エネの増加によって発生するものなのかどうか。それをはっきりと識別する必要があります。さらに、原子力発電や火力発電において発生している統合費用が、しっかりと換算されているのか。もしそれがされていないと、隠れ統合費用があることになります。それでは、再エネと既存の電力源を公平に扱っていません。


その場合、統合費用が正当に換算されていないことになります。日本で統合費用を試算しているのは、政府の地球環境産業技術研究機構(RITE)です。RITEの試算は、どうなっているのか。この点については、次回検証したいと思います。


(2021年7月14日)

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小型原子炉を分散型に応用する矛盾 - 小型原子炉は救世主か(9)
関連サイト:
地球環境産業技術研究機構(RITE)のサイト
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