金融危機の影響が実体経済に現れてきているが、今後心配なのは、景気が後退してしまうこと。
ドイツ政府は、これまで景気後退対策として景気刺激策を講じないとしているものの、保守派のグルス経済大臣(CSU)が減税を唱えるほか、公共投資を中心とした景気刺激策を求める声も出てきている。
そうした中、ドイツ政府内で現在検討されているのは、景気刺激と環境政策を組み合わせた環境にやさしい景気刺激策だ。
まずは、打撃の大きい自動車業界を支援するため、これまでの排気量ではなく、二酸化炭素排出量に応じた自動車税を導入することだ。環境にやさしい車を優遇することで、新車の販売を伸ばそうという思惑だ。この自動車税改革は、当初、温暖化対策の枠内で計画されていたが、業界の反対などで頓挫していた。
家電では、低所得者向けに、エネルギー消費の少ない冷蔵庫を買えば、補助がもらえるようにする補助制度。
建物をリフォームする場合、建物の断熱効果を引き上げるために有利な融資制度が用意されているが、その枠をさらに拡大して、建設業を支援することも考えられている。
公共投資では、学校など公共施設の省エネ化を促進することなどだ。
景気刺激策では、特定の業種だけが優遇される上に、財政負担が次の世代に持ち越されることになるため、従来の単なる道路建設ではなく、より持続的な効果が上がるように公的資金を投入したいというのがドイツ政府の思惑だ。
(2008年10月28日) |