フィリップスブルク原発 |
3・11直後に原発7基を一時停止させたドイツ。その後ドイツは原子力法を改正して、2022年までにすべての原子炉を段階的に停止して脱原発することになった。しかしそこには、法的な問題があった。
ドイツ政府は、国会決議なしに独自の判断で原子炉を一時停止させた。しかしそれには、当初から違憲ではないかの疑問があった。
その後、電力会社の一部が提訴。最初の判決が今年2月末に下り、違法と判断された。それに伴い、電力側が民事裁判で損害賠償請求できるチャンスが生まれた。
法的には、すでに原子炉8基の廃炉が確定している。しかしそれからまもなく2年になる現在、8基の廃炉手続きはまだ開始されていない。
原子力業界の情報推進団体「原子力フォーラム」の広報担当ルッコウさんによると、大きく2つの問題があるという。
一つは、今廃炉をはじめてしまうと、提訴している意味がなくなるからだ。電力側は損害賠償されるのを待っているのだ。
もう一つは、廃炉によって多量に排出される廃棄物の処分。放射性廃棄物の処分ばかりでなく、放射性廃棄物の規制を解除される産業廃棄物をどう再利用、処分するかでまだ模索しているのだという。
廃炉を開始するまでに時間がかかれば、停止した原子炉を安全に管理するのにコストが嵩む。ルッコウさんはそれだけに、まもなく廃炉の申請が提出されるだろうとする。しかしそれが具体的にいつになるのか、ルッコウさんはまだわからないとした。
(2013年7月1日、福本榮雄、「反原発新聞」2013年4月初出) |