2013年7月26日掲載 − HOME − エネルギー・インタビュー一覧 − インタビュー
インタビュー:
ハリンリヒ ・ シュテフェンス

市民風力発電パークに農地を貸すほか、風車に出資している農民

ドイツ最北端、デンマークとの国境沿いにあるヴェストレ村で、市民風力発電パークに農地を提供するほか、市民風力発電に出資している農民。

風車のある農地は7.125ヘクタールで、そのうち風車に1ヘクタールを提供。農地の一部にはその他、地中ケーブルが埋設されているが、風車のあるところ以外では、乳牛用の牧草が栽培されている。


Q:市民風力発電に出資したのはなぜか

農業以外から収入を得るために、風車に出資した。原発を少なくして、再生可能エネルギーを進め、環境のために役立ちたかったからだ。

ちょうど牛乳の生産以外から、少しでも副収入を得る方法を探していたところだった。


Q:いつから出資しているのか

最初に市民風力発電の話が持ち上がったのは、93年だった。風車には、2000年に建設認可がでた。悩ようことなく、すぐに出資を決めた。

最初の(2000年の)風車は、たいへんうまくいった。その後に、2回目の出資をしているが、その分は期待したほどではなかった。だが、全体としては期待通りだ。

当時出資したのをうれしく思っている。農家も企業だから、利益が必要だ。

最初からこれほどうまくいくとわかっていたら、当時もっと出資していればよかったと思う。

Q:出資額はどれくらいか

2000年に、風車に6万ユーロ(約900万円)出資した。5年ほど前に、さらに風車に10万ユーロ(約1300万円)出資した。

1回目時のも、2回目の時も、風車のために土地を賃貸している。


Q:そんなに安いものだとは思えないが

(風車、土地賃貸から収入がなくても)農業をやっていけないことはない。 だが、農業だけでは収入が安定しないので難しい。

2011年には、牛舎の屋根に太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーで発電して、さらに副収入を得ている。


Q:そこまで再生可能エネルギーに投資するのはなぜか

22歳の息子がいま農業マイスター試験の準備をしており、ここで家族を持って農業を継いでくれることになっているからだ。

2013年夏から、一緒に農業をする予定で、少しずつ引き渡していく。

いずれにせよ、農家として生きていくには副収入があるのはたいへんありがたい。息子が農業を長く続けていくには、再生可能エネルギーが助けてくれるだろう。


Q:それで農業が復活する

もちろん、それで十分かどうかはまだわからない。風車が20年回り続けても、息子の代になるとそれだけでは十分ではないかもしれない。

いずれ息子もどこかで(再生可能エネルギー)に出資しなければならなくなるだろう。風車が何年回り続けるかわからないが、当時出資したことをよかったと思っている。

これからも風車に投資していきたい。


Q:市民が共同で出資する意義は

われわれ市民が共同でやっているという連帯感がある。

市民が共同でやっているので、風車から多少騒音が聞こえても問題になることはない。


(2012年11月、ヴェストレ村にある自宅でインタビュー)
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