2018年10月20日掲載 − 再生可能エネルギー
出力抑制を回避する

日本では、九電が太陽光発電の出力抑制を行なうのが問題となっている。


送電網は、需要と供給のバランスが保たれていないと送電できない。発電量が需要より多くても、少なくてもいけない。そのバランスが崩れると、大規模な範囲で停電が起こる。その均衡を維持するのが、送電技術の妙なのだ。


ただ、再生可能エネルギーは自然条件によって発電量が変動する。自然条件に左右されるので、発電量を制御することができない。送電網を維持するためには、発電設備を送電網から切り離す(解列する)しかない。それが出力抑制だ。


この問題は、再生可能エネルギーの割合の多いドイツでは頻繁に起こっている。ドイツでは、事前通知はせず、送電会社が中央監視室でその時々の天候の状況とその時間帯の過去の電力需要を事前に把握しながら、そこからコンピュータによる操作で瞬時に発電設備を切り離す(解列)ことができる。


再エネの普及とともに、こうした最新技術が必要だ。だが日本では、技術上そこまでも進んでいない。


ドイツでは、再生可能エネルギーで発電された電力が優遇される。そのため、再生可能エネルギー発電設備が発電して電気を供給できない場合、損害賠償される。この点も、再エネの優遇措置のない日本と違うところだ。発電設備が常に電気を供給できず、その分の利益もないというリスクがある以上、日本では再エネへの投資が拡大しない。


ドイツでは、出力抑制を回避するための努力も積極的に行なわれている。


そのために最も重要となるのが、エネルギー貯蔵技術だ。余剰電力を電気として貯蔵するだけではなく、余剰電力を使ってたとえば水素を製造する。水素は燃料電池の燃料になるので、発電や燃料電池車の燃料として使うことができる。また、そのまま天然ガス網に入れるほか、水素を二酸化炭素と合成させてメタンガスを製造して、天然ガス網に入れることもできる。


日本では、原発をどうするかということで、議論が発電問題に集中しすぎる傾向がある。電気ということではなく、エネルギーを電気、熱、動力燃料としていかに利用すべきか、全体でエネルギーの利用について考えたい。それが、出力抑制を避ける一番の方法だ。


具体的な施策については、本サイトにある「エネルギー選択宣言」なども参照されたい。


(2018年10月20日)


関連サイト:
朝日新聞2018年10月20日電子版記事:九電の太陽光発電「出力抑制」、21日も実施の可能性
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