2018年9月22日掲載 − 再生可能エネルギー
アルミ精錬工場をバーチャル蓄電として利用

ドイツ西部ノルトライン・ヴェストファーレン州は、ドイツの中でも重工業地帯に数えられる。石炭産業、製鉄産業など伝統的な重工業が多い。


その重工業の中でも、最も電気を使う産業がアルミ精錬工場だ。ここでは、電解炉でアルミを地金する。そのため、アルミニウムの生産は「電気の缶詰」ともいわれる。筆者が取材したアルミ精錬工場も、コスト全体の40%が電気コストだという。


トリメート社のアルミ精錬工場には、1kmの生産ライン両側に電解炉が並んでいた。その真ん中の通路に入ると、かなり強い磁場に入ったのを感じた。内臓が押されて、浮いているような感じがする。カメラのシャッターも切れなくなった。事前に、ペースメーカーをつけている人は絶対に入ってはいけないといわれたが、その理由がよくわかった。


工場には220kVの高圧線が引き込まれており、電気は工場内の整流器で電気を直流に変換される。そのため、工場内では直流電流によって強い磁場ができている。


ドイツでは、再生可能エネルギーの割合が30%以上に増えてきた。それにつれ、天候条件によっては送電網が不安定になり、電気を安定供給できなくなる心配もある。それを防ぐため、いろいろなアイディアが考案され、試験されている。


取材したアルミ精錬工場でも、送電網の状況に応じて電力消費量を増減させて、工場の生産を最高±25%まで変動できるようにする技術が研究、開発されている。ただそれ以上電力消費を減らすと、電解炉の温度が下がって溶解したアルミミウムが固まって、炉はもう使えなくなる。技術開発のポイントは、こうした工場内での問題を防ぎ、送電網の周波数をできるだけ50Hzに維持することだ。


そうすれば、アルミ精錬工場が蓄電池のように機能する。バーチャル蓄電といえるだろう。


工場側からは、ドイツの目指すエネルギー転換に向け、産業側でもこうして生産に柔軟性をもたせることが重要だとの説明があった。


(2018年9月22日)


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