2018年6月05日掲載 − 脱原発
輸送・保管容器の安全は?

使用済み核燃料を乾式で中間貯蔵する場合、その安全を最も担保しているのは、使用済み核燃料の輸送・保管容器(キャスク)だ。中間貯蔵施設がテロの標的になる可能性もあるので、旅客機のような大きな飛行機が墜落してきても、キャスクの気密性が維持され、放射性物質が漏れてはならない。


使用済み核燃料はまだ熱いので、キャスクには高い耐熱性が要求される。中間貯蔵施設でキャスクを保管する場合も、キャスクをある一定の間隔で保管しないと、自然発火する可能性がある。


もう一つ、保管中に核分裂が起こって再臨界することも防止しなければならない。そのため、キャスクには通常、中性子吸収材が挿入されている。


これら安全上のポイントを配慮して、中間貯蔵に使用するキャスクの許認可手続き(型式検査)が行なわれる。


ドイツのキャスクは、金属製の容器だ。主に鋳鉄製で、国外製のものにそれよりも耐熱性のある銑鉄製のものがある。ドイツでは、キャスクを使用済み核燃料の輸送、保管に兼用する。


キャスクの安全性を検査するため、金属製容器では特別な事故を想定して以下のような試験が行なわれる。

・  15メートルの水中での8時間の浸漬試験
・  200メートルの水中での1時間の浸漬試験
・  高さ1メートルからの丸棒上への落下試験
・  高さ9メートルのからの落下試験
・  800度Cでの30分間の耐火試験


これは、国際基準に基づいて行なわれる。しかしこの基準では、福一原発事故現場のように、原子炉棟の上と高いところで燃料貯蔵プールにある使用済み核燃料を入れるような特別な条件は想定されていない。また、日本は使用済み核燃料をイギリスとフランスに輸送して再処理をしてもらっているが、輸送中に海洋の深いところに落ちた場合も想定されていない。


筆者が知っている限り、これらの試験が実物大の容器ではほとんど行なわれていない。実際には、縮小されたモデルで試験を行い、その結果を実物大の場合にどうなるか計算して、その健全性が確認されているに過ぎない。


それで本当に実物が安全なのか、筆者には疑問だ。


もう一つの問題は、特別な事件を想定しても、実際にどのような事故が起こるかわからないことだ。それは、不確定要素として設計時に安全上余裕をもたせて担保される。


ただ、その安全上の余裕を大きくすればするほど、製造コストが膨らむので、どうしてもそこには採算性が入り込む余地が生まれる。採算性を追求すればするほど、何か起こるかわからない不確定な事故には弱い可能性がある。


使用済み核燃料を輸送、保管する容器には、こういう問題がある。


(2018年6月05日)
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