2018年6月11日更新 − 再生可能エネルギー
ドイツのFIT制度、入札で競争論理を取り入れ:
(2)陸上風力発電の状況

陸上風力発電では、総出力750kWより大きい施設から入札の対象となる。風車1基の出力が最低でも1MWとなっている現在、陸上風力発電施設を建設する場合、たとえ1基しか計画されなくても、応札して建設権を得なければならないということだ。


EU指令は、6MWまでの風車ないし6基までで構成される発電施設(総出力は、18MWまでだと想定される)に例外を認め、入札制度によって電気の買い取り価格を設定する必要がないとしている。それだけに、ドイツはEU指令に比べ、入札対象条件をかなり厳しくした。これは、ドイツで陸上風力発電が想定以上に無防備に拡大したことによるものと見られる。


また、送電網の状況に応じて、送電網に新規施設を受け入れる余裕のない地域での建設を厳しく規制するほか、施設の建設予定地における送電網整備計画の状況を考慮しなければならないことになっている。これについても、過去において送電網の容量を考えずに風車が無防備に設置され、風車を送電網の状況に応じて切り離(解列)してきた教訓からだと思われる。


解列した場合、発電事業者に損害賠償し、そのための負担は電気料金に上乗せされ、一般消費者が負担している。


これまで2017年に5月、8月、11月の3回、2018年2月に1回入札が行なわれた。入札の対象となった発電容量は、それぞれ800MW、1000MW、1000MW、700MW。応札状況は、

2017年:
5月:応札256件、応札総発電容量2,136.7MW
8月:応札281件、応札総発電容量2,926.8MW
11月:応札210件、応札総発電容量2,590.8MW
2018年:
2月:応札132件、応札総発電容量989MW

であった。


電気買い取り価格に対する応札額と落札額の状況は、以下の表1の通りとなる。


表1  陸上風力発電の2017年入札における応札額と落札額
(出所:ドイツ送電網規制機関のデータから筆者作成)

落札の結果、落札額が入札する毎に下がっていることがわかる。再生可能エネルギー法に従えば、2017年1月には電気の固定買取り価格は8.38セント(11円)であった。それを考えると、落札額はかなり下回った。それだけ競争論理の効果が現れたのだと見られる。


ただ特に注目したいのは、最低落札額だ。応札者は、発電コストが下がると見られる次世代型風車を前提にオファーしているが、発電施設を設置して発電しても、電気が1kWh当り2セント(3円未満)や3セント(4円)余りでしか買ってもらえないようなら、発電がビジネスとして成り立たなくなり、陸上風力発電施設に投資する意味がなくなる。


このような入札制度で、今後陸上風力発電を予定通りに拡大できるのか、はなはだ疑問だ。


次回は、入札制度が市民発電にどういう影響を与えるのか、見ることにする。


(2018年6月02日)


ドイツのFIT制度、入札で競争論理を取り入れ
(1)改正の概要 (2018年5月31日)
(3)市民発電はどうなるのか? (2018年6月04日)
(4)落札した市民発電の事例 (2018年6月09日)
(5)太陽光発電の状況 (2018年6月11日)
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