2018年6月11日掲載 − 再生可能エネルギー
ドイツのFIT制度、入札で競争論理を取り入れ:
(5)太陽光発電の状況

太陽光発電でも、陸上風力発電と同様に総出力750kWより大きい施設から入札制度で電気の買い取り価格を規定する。そのため、太陽光発電では主に平地などに設置されるメガソーラーが入札の対象になり、一般家庭の屋根に設置されるソーラーパネルは入札の対象とはならない。ドイツは毎年、太陽光発電を2500MW拡大させる予定で、入札対象となる太陽光発電施設は、容量からして全体の4分の1弱にすぎない。


入札はこれまで、毎回200MWの容量に対して行なわれてきた。その応札と落札の状況は、以下の表 4の通り。


表 4  太陽光発電のこれまでの入札における応札と落札の状況
(出所:ドイツ送電網規制機関のデータからから筆者作成)

固定価格買い取り制度にしたがうと、平地に設置される太陽光発電施設に対する買い取り価格は、2017年1月からが8.51セント/kWh(11円)、2017年1月からはが8.44セント/kWh(11円)となっている。それに対して、落札額は毎回かなり下がっている。


落札した施設の発電出力を見ると、以下の表 5のように5 MW以上の大きな施設が中心になっていることがわかる。発電容量が大きければ大きいほど、入札では有利な状況がわかる。


表 5  太陽光発電施設の容量からみた落札総容量
(出所:ドイツ送電網規制機関のデータからから筆者作成)

安価な中国製ソーラーパネルの普及で、ソーラーパネルの価格が大幅に下がっていているとはいえ、この落札額では太陽光発電においても今後、平地の発電施設に投資する魅力が失われてしまうことが心配される。


ドイツ南部で市民電力協同組合の設立に尽力してきたゲオルク・クノルさんによると、一般住宅の屋根に設置されるソーラーパネルでも発電コストは1kWh当り6セント(7円)余りという。その意味で、太陽光発電の発電コストは自体大幅に下がっている。


クノルさんは、「中国製の安いソーラーパネルが出てきたことで、一般住民にとっても屋根にソーラーパネルを設置するのが格段に魅力的になった。今後は、一般住宅での設置がメインになるだろう、その流れはもう止められない」と予想する。


ヨーロッパでは安価な中国製ソーラーパネルの進出で、ヨーロッパのソーラーパネルメーカを保護する目的で、中国製に関税を高い関税をかけている。それについても、クノルさんは批判的だ。


むしろ、国策としてソーラーパネルを輸出している中国の支援策をヨーロッパで利用すべきだと主張する。ヨーロッパで関税をかけて保護している労働力はたかがしれている。むしろ、中国がソーラーペネルに助成している恩恵をうまく利用して安いソーラーパネルをどんどん導入していったほうが、ドイツにとって得だとする。


(2018年6月11日)


ドイツのFIT制度、入札で競争論理を取り入れ
(1)改正の概要 (2018年5月31日)
(2)陸上風力発電の状況 (2018年6月02日)
(3)市民発電はどうなるのか? (2018年6月04日)
(4)落札した市民発電の事例 (2018年6月09日)
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