次に、即時解体という廃炉方式について説明しよう。
即時解体というのも、名前の通りだ。原子炉を停止後、すぐに解体作業に入るということだ。停止後すぐにといっても、すぐに廃炉工事をはじめることができるわけではない。原子炉が熱いし、廃炉工事のために認可も取得しなければならない。原子炉を停止しても、かなりの期間は停止前の運転時とほぼ同じ体制で原子炉が監視される。それについては、すでに述べた。
前回説明した安全貯蔵の場合と同様、即時解体においても原子炉を停止すると、圧力容器から核燃料を摘出するほか、原子炉が冷えるのを待って冷却水など原子炉の運転に必要だった媒体(ユーティリティ)もすべて取り除かれる。また、原子炉につながっている配管なども切断して、原子炉周りにある汚染度の低い機器や建屋などが解体される。
現場の状況にもよると思うが、この段階かその後で原子炉の解体をはじめる。ただまだ線量がかなり高いので、ロボットなどを使った遠隔操作となる。また線量の高いものは、使用済み核燃料用の貯蔵プール内で切断したり、破砕して、大きなものを小さくする。
切断、破砕されたものはまずサイト内の中間貯蔵施設に保管し、除染の順番を待つ。除染の方法については、後で詳しく説明したいと思う。
ここで代替方法として、圧力容器など線量の高い機器を切断せずに、解体後そのまま中間貯蔵施設に保管して、線量が下がるのを待つ方法もある。
即時解体では、線量が高い状態で解体作業をはじめるので、廃炉作業において作業員の安全管理がとても難しいという問題がある。
それに対して、安全貯蔵と違って原子炉のことを熟知している現地職員が廃炉工事に従事できるので、現場の状況に応じて解体工事がしやすいという利点がある。
次回は、安全貯蔵と即時解体についていくつかの点から比較してみたいと思う。
(2018年11月20日) |