2019年9月08日掲載 − HOME − 再エネ一覧 − 記事
田舎で電気自動車を普及させるには

地方にいけばいくほど、自家用車は市民にとっては欠かせない生活の必需品だ。


自家用車がないと買い物ができない。ちょっとした所用も済ませることができない。仕事に出ることもできない。


それは、都会のように公共交通が頻繁に至る所を走っていないからだ。地方では人口密度が低いだけに、公共交通を十分に整備、拡充しても採算性がない。たいへんな赤字を生むだけだ。


バスは、せいぜい1時間に1本走っておればいいほうだ。


だから、自家用車を所有するしかない。


それに対して地方では、土地があり、自然がある。太陽と風、バイオマスを使って発電ができる。太陽光風力や風力発電によって、地元で必要な電力を供給するのは難しいことではない。むしろ、電力は余る。


その余った電力を自動車や熱供給に使えるようにしないと、地方においてさえ、エネルギーを100%再エネで供給することはできない。


特に、自家用車をどう再エネ化するかだ。


現在一番普及させやすいのは、電気自動車だ。でも地方において、電気自動車をどう普及させるかが問題だ。


ドイツでは電気自動車を普及させるため、電気自動車購入時に補助する制度を開始した。でも、電気自動車を買う消費者は増えない。


電気自動車を普及させるには、充電スタンドなど、インフラも整備しなければならない。


そればかりか、地方にいけばいくほど、新しいものに対する躊躇がある。それを乗り越えない限り、地方で電気自動車を普及させることはできない。


まず自治体が率先して、電気自動車を使い出している。でもそれは、どこでもはじまっている。ただ小さな村では、自治体自身で電気自動車を買うだけの財政的な余裕もない。


この問題に取り組むため、たとえばドイツ南西部ラインラント・プファルツ州のライン・フンスリュック郡では、今年2019年から新しい試みをはじめた。


郡が電気自動車7台を購入して、村など7つの小さな自治体に1年間、1台の電気自動車を貸し出している。電気自動車は、村の住民なら誰にでも自由に使える。次の年には、また別の7つの村に電気自動車が貸し出される。


こうして住民に電気自動車体験をしてもらい、電気自動車へ切り替える意欲を刺激しようというのだ。


(2019年9月08日)
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ライン・フンスリュック郡公式サイト
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