2019年8月17日掲載 − 再生可能エネルギー
再エネ集合住宅

ベルリンのメッケーンキーツ集合住宅は、昨年2018年秋に完成したばかり。今、ドイツで最も注目されている集合住宅だ。


それには、2つの理由がある。


一つは、集合住宅の住民自治を目的として市民協同組合によって建設、運用されていることだ。


きっかけは、地元住民のストリート祭りだった。その時、隣接するドイツ鉄道の旧貨物操作場が売りに出ていることが話題になった。住民有志がそれを共同で買い取って、不動産市場に左右されない住民のための集合住宅ができないかという話が持ち上がった。


住民たちは、何回も話し合いを重ねた。協同組合を設立して土地を買い、住民自らが施主になって、住民自治をベースとする集合住宅を設置することを決めた。


建設工事は、資金不足で一時中断したこともある。完成するまで、何度となく高いハードルを越えなければならなかった。でも公的補助に頼ることなく、自己資金と銀行からの融資だけで集合住宅を完成させた。10年あまりかかった。


3万平方メートルの敷地に、住宅の建屋17棟、471軒の住宅が誕生した。


ソーラーパネル
屋根の上に太陽光パネル

同時に、集合住宅に必要な電気と熱のエネルギーをすべて再生可能エネルギーで供給することを決めた。


これが、もう一つの注目されている点だ。


ここで採用されたのが、集合住宅において共同のエネルギー設備を設置して、電気と熱を供給する「間借り人電気(Mieterstrom)」システムといわれるものだ。


集合住宅の屋根には太陽光パネルが設置され、地下にコジェンレーションシステム(熱電併給設備)と、熱を貯蔵しておくためのタンクが置かれている。コジェンレーションシステムは、バイオガスを燃料とする。バイオガスは、トウモロコシの茎や葉などの生物資源と家畜の糞を混ぜ、発酵させてつくる。


その他、コジェネレーションシステムだけでは冬の寒い時に熱供給が不足する場合に備え、熱を供給する補助ボイラーも設置されている。ただ補助ボイラーだけは、一般の天然ガスを燃料とする。


各建物には、換気装置と熱交換器が設置されている。換気装置によって、各住宅から空気を吸引し、その排気の熱を熱交換器で回収する。熱は、暖房や給湯のための熱供給に再利用される。


このシムテムによって、住民に供給される電気は、一般に供給されている電気より15%近く安くなっている。それも、すべて再エネで発電された電気だ。


協同組合のクムレ理事に、蓄電池は設置していないのかと聞いた。蓄電池はまだ高く、蓄電池まで設置する資金的な余裕がなかったという。


なお市民協同組合による集合住宅の運用方法については、次回詳しく述べることにする。


(2019年8月17日)
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