2019年8月24日掲載 − 再生可能エネルギー
協同組合住宅とは

前回、再エネ集合住宅が住民の設立した協同組合によって建設、運用されていると書いた。


協同組合は、集合住宅において住民自治を実現する上で、とても大切な形態だと思う。そのためここで、協同組合住宅について少し詳しく述べておきたいと思う。


まず、協同組合とはどういうものなのか。


協同組合は、誰にでも参加できるといっていい。ただし、協同組合に出資しなければならない。それによって、組合員となることができる。なお出資条件は、組合によって異なる。


多くの場合、誰にでも出資できるように、出資額が低く抑えられている。出資額に上限を設けて、特定の人物だけが巨額に出資できないようになっている場合も多い。


協同組合は企業ではない。非営利組織だ。だから、出資金の額によって出資者(組合員)の投票権が変わるわけではない。組合員はいくら出資しようが平等で、組合員1人当たり投票権は1票しか与えられない。


つまり、出資したお金によって組織内における権限が左右されないということだ。営利目的で出資するわけではないからだ。


この民主的な形態をベースにして、組合を代表する理事が組合員の投票によって選出される。


協同組合住宅に入居できるのは、組合員に限定される。でも組合員だからといって、組合の住宅に入居する必要はない。組合住宅に入居していなくても、組合の理事になることもできる。


組合住宅の建設から運用まで、家賃を含めすべては、組合員が共同で話し合って詳細が決められる。これが、住民自治の原則だ。


協同組合住宅では、組合によってそれぞれ異なるが、たとえば以下のような特徴が見られる。


一番下の階に、共同トイレが設けてある。小さな子供や高齢者のいる家庭にとっては、とても助かるはずだ。


共同のゲストルームを設けて、共用する。お客さんがある場合、事前に予約しておけばいい。


あるいは、共同カフェを設けて、組合員のつくった自家製ケーキやクッキーを販売する。共同カフェは、住民が一緒におしゃべりできる憩いの場でもある。


共同の工房を設けて、そこに共用できる工具や設備を置いているところもある。


また、高齢家庭と若い家庭が入居していれば、高齢家庭が代理のおじいちゃん/おばあちゃんとなって若い家庭の小さなこどもの面倒を見る。逆に若い家庭は、力仕事が必要な場合に高齢家庭をサポートする。


協同組合住宅はこうして、住民それぞれが助け合って共生する場ともなる。


前回紹介したメッケーンキーツ集合住宅のように、エネルギー供給を自分たちで選択して再生可能エネルギー化することができる。集合住宅の管理やメンテナンスも、住民が共同で話し合って決める。


メッケーンキーツ集合住宅ではさらに、住民同士のいさかいやいざこざが大きくならないように、ネット上に苦情相談窓口を設けている。そうして、住民同士の争いごとを組合が仲介している。


ただ、住民自身に出資するだけの経済上の余裕がないといけない。だから、協同組合は経済的に余裕のある人にしか参加できないという批判があるのは事実。実際家賃も、出資額に応じて決まる。


ただ、十分な経済力がなくて個人では銀行融資を受けることができなくても、協同組合という組織になれば、銀行から共同でお金を借りることができる。見方を変えれば、貧乏人でも銀行融資を受けるチャンスが生まれるともいえる。


これが、連帯することの強さでもある。


組合から脱会する場合、出資金はある一定の期限までに返金される。


住宅というのは、市民生活の基盤である。一番大切なライフラインといってもいい。


だから協同組合住宅という形態は、営利を目的とした不動産市場の動向に影響されることなく、末長く安心して住み続けることのできる一つの方法であるともいえる。


(2019年8月24日)
記事一覧へ
関連記事:
ドイツの組合は、世界無形文化遺産
再エネ集合住宅
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ