2019年5月11日掲載 − 再生可能エネルギー
洋上風力発電の課題(5):国が指定する洋上風力発電区域

日本では、洋上風力発電を進めるため、再エネ海域利用法(海洋再生可能 エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)が制定された。


それによると、国が洋上風力発電の「促進地域」を指定できる。国が洋上風力発電区域を指定するのは、ドイツをはじめ、ヨーロッパではすでに実施されている手法だ。


日本の法律では、「促進地域」を指定するのにどういう手続きが行われるのか、まだはっきりしていない。資源エネルギー庁のサイトでは、以下のように記載されている。


現在、経済産業省及び国土交通省の合同会議にて、促進区域の指定や公募による事業者選定など制度の具体的運用を検討しているところです。


本合同会議での議論も踏まえ、促進区域の速やかな指定のため、まずは経済産業省及び国土交通省にて様々な既知情報を収集し、これをもとに促進区域となり得る有望な区域を選定し、当該区域について協議会の設置や国による詳細調査など促進区域の指定に向けたプロセスを進めていく予定です。


ここで気になるのは、国が主体になって促進区域を指定し、さらに利害調整しか行われないことだ。


ドイツの場合、洋上風力発電区域は、国土整備計画の枠内で行われる。国土整備計画の一部となる海域利用計画を策定することで、洋上風力発電区域が確定する。


ここで、わざわざ国土整備計画と入れたのには意味がある。


そのためには、国土整備計画の枠内で海域利用計画を策定する前に、環境に対する影響調査を実施しなければならない。さらに、住民参加によって計画案を策定することが義務つけられる。


これは、洋上風力発電区域が単に国によるトップダウン型で決まるわけではないということだ。


住民参加を実現するため、州レベルにおいて関係自治体、関係業界、国、隣国などの代表も参加して、住民に対して1年間に渡り公聴会が開催される。


海域利用において、環境調査と住民参加によって経済、社会、文化、環境の利害を総合的に調整しようとしているともいえる。


海域は共同で持続的に利用、開発しなければならないという哲学があるからだと思う。


日本ではそこまで考えられているのかどうか、とても疑問に思う。


(2019年5月11日)

洋上風力発電の課題
(1)統一ルール (2019年3月23日)
(2)港湾基地 (2019年3月30日)
(3)命がけの作業員 (2019年4月27日)
(4)漁業権は保護されない (2019年5月05日)
(6)海底ケーブル (2019年5月25日)
(7)発電施設の寿命 (2019年6月01日)
(8)構造上の問題 (2019年6月22日)
(9)必要なのか? (2019年7月08日)
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