2019年5月25日掲載 − 再生可能エネルギー
洋上風力発電の課題(6):海底ケーブル

洋上風力発電施設で発電された電気は、海底ケーブルを経由して陸上の送電網に送られる。


そのためには、それぞれの洋上風力発電施設から勝手に海底ケーブルが敷設されてはならない。それでは、海底が送電ケーブルに占領されて、迷路のようになってしまう危険がある。海底ケーブルの交通整理が必要だ。


海底ケーブルによって、漁場が破壊される心配もある。海底ケーブルを敷設するにも、船舶の航路、海洋資源開発、海洋研究、海洋環境保護など、その他の海洋利用も十分配慮されなければならない。


洋上風力発電においては、海底ケーブルが海洋を利用する範囲が広い。さらに、変電施設など海底ケーブルに付属する設備も必要である。


それだけに、それぞれの海洋利用の利害関係を交通整理して、海底ケーブルのメンテナンスの方法も含め、海底ケーブルが他の目的の障害にならないようより厳しい規制が必要となる。


日本のように、洋上風力発電の促進区域を指定して利害関係を調整すれば、それで済む問題ではない。


たとえばドイツの場合、これらそれぞれの海洋利用に関して、優先区域と留保区域を設けることで、それぞれの利害関係を調整している。こうして、洋上風力発電の課題(4)で問題提起した「共用」を実現しようとしているのだ。


そのため、ドイツでは長年に渡って環境問題などを事前に調査してきた。洋上風力発電の促進区域を指定するまでには、十分時間をとって調査、調整する必要があるということだ。


さらに、海底ケーブルに寿命があることも考えなければならない。一旦敷設された海底ケーブルをどう撤去するのか。あるいは、取り替えるのか。あるいは、海底にそのまま処分したことにするのか。


これも、解決しなければならない問題だ。


海底ケーブルは、他の海洋利用とだけに関わる問題ではない。陸上における送電網の整備状況とも密接な調整が必要となる。


海底ケーブルは、たくさんの洋上風力発電施設で発電された電気を集めて集中的に送電する。そのため、海底ケーブルが陸地に上がる時には、かなり大きな送電容量を持っているものとなる。それだけの電気をさらに陸上でも送電できないと洋上で発電する意味がない。


たとえばドイツでは、それがうまくいっていない。陸上送電網の整備が遅れて、陸上での送電容量が小さすぎるなどの問題が発生している。


こうして見ると、洋上風力発電に必要な海底ケーブルには、たくさんの問題がある。


(2019年5月25日)

洋上風力発電の課題
(1)統一ルール (2019年3月23日)
(2)港湾基地 (2019年3月30日)
(3)命がけの作業員 (2019年4月27日)
(4)漁業権は保護されない (2019年5月05日)
(5)国が指定する洋上風力発電区域 (2019年5月11日)
(7)発電施設の寿命 (2019年6月01日)
(8)構造上の問題 (2019年6月22日)
(9)必要なのか? (2019年7月08日)
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